最近美容整形についての関心が高まり、 受診する人も以前より増加していると言われています。 美容整形は、法令上の名称ではありません。
医療法施行令では「美容外科」が広告できる診療科名であり「美容整形」は
俗称といえます。
そもそも美容整形は「医療行為」といえるのかが問題とされたことがあります。 なぜなら、普通の医療行為のように病気や傷害を治すという治療を目的とする行為ではないからです。
しかし、治療行為ではなくても、医学的な方法で行われ、 医師の専門知識や技能を用いないと身体・生命に危険を生じるおそれのある行為は、
医療行為と考えられるようになり(例えば移植臓器の摘出)、 現在は美容整形も
医療行為に含まれています。
元々医療行為は、人に対して投薬や手術などの「加害行為」を行う面がありますが、 これが社会的に認められているのは「治療行為」であるという理由によります。
しかし、美容整形は治療行為ではないので、これが認められる理由は患者が同意したことが理由になります。 従って、美容整形では患者が医療行為について充分な説明を受け、
これを理解して納得し了承することが必要になります。つまり、 美容整形では医師の説明義務が、 他の診療科目に比べて大変厳しく課されています。
例えば、レーザー治療によって額と頬のシミを除去しようとした患者が シミが除去できずかえって色素が沈着した事例について、
裁判所は医師が「レザー治療で1回で綺麗になり、 副作用の危険性もほとんどない」と説明して、 レーザー治療の危険性を全くと言って良いほど説明しなかったことから、
医師に説明義務違反があるとして損害賠償責任を認めました。 又この件では医師と患者の診療契約は、患者がレーザー治療で治り、副作用の危険もないと
誤信して締結したものなので、錯誤によって無効であり患者は治療費を払う必要もないと判断しました。 又豊胸術を3回行って、その都度すぐに皮膜拘縮が発生して、
再手術をしても改善が期待できない状況にあった事例では、4回目の手術前に、 医師は手術の概要や通常予想される合併症・危険性とともに,手術を実施しても効果が期待できず、
危険性も非常に高いことを説明すべき義務があったのにこれに違反したとして 損害賠償責任を認めています。
但し,二重まぶたの手術の事例で, 二重まぶたの非対称やはんこんが発生したとの患者の主張について 「一般人が社会生活上気に留めるような二重まぶたの非対称やはんこんは認められない」
として医師の過失を認めなかった裁判例もあります。 裁判所は,美容整形について他の診療科目より説明義務を厳しく課していますが,
医師の過失を判断する場合は,特に高度な医療水準を要求しているわけではなく, 要求される医療水準は他の診療科目と同じです。