違法な長時間残業が行われている企業は厚労省から企業名が公表され、
最近では「ブラック企業大賞」なるものまで登場。
ブラック企業という言葉は、すっかり市民権を得てしまった。
では、一般的なブラック企業とはどのように定義されるのか?
厚労省のHPで確認するとこのようにある。
(1) 労働者に対し極端な長時間労働やノルマを課す
(2) 賃金不払残業やパワーハラスメントなど企業全体のコンプライアンス意識が低い
(3) このような状況下で労働者に対し過度の選別を行う
(引用:厚生労働省「確かめよう労働条件」より)
特に(1)の極端な長時間労働は過労死を引き起こす要因となり、
労災認定基準でも残業80時間以上を過労死ラインと定めている。
すべての企業は従業員の健康を守る義務があるが、人手不足や業務量の多い業界では
この過労死ラインを超えて働かざるをえないのが現実だ。
実際、厚労省の調査報告によると残業時間が「80時間〜100時間以下」に及ぶ企業が10.8%、
「100時間以上」は11.9%にものぼることが分かっている。
激務の勤務医たち
では、当直明け勤務などに代表される拘束時間の長い医師はどのような現状なのだろう。
モンスターペイシェントや訴訟リスクなど精神的、肉体的にも負荷の高い職業だ。
高須クリニックの高須克弥先生もツイッターでこのように述べている。
そこでプレドク編集部はこの真相を探るため「医師とブラック労働」をテーマにプレドク独自の調査をおこなった。
4,000人以上の医師へWEBアンケートを実施、186人より実際に回答を得られたのでここに公表する。
過労死ラインを超えて働く医師は約3割

7割近い医師が残業80時間以下と答える一方で、3割近い医師は80時間以上と回答。
その中でもっとも多かったのが「80時間超〜100時間以下」の15.1%。
また、過労死ラインの2倍近く働いている「150時間以上」の医師が6.5%もいた。
職場環境の悩みは三者三様

ここでは回答が分かれた。その他の意見では「ストーカーにあっている」、
「病院の評判がよろしくない」といった意見も。
職場の悩みからうつ病になったケースも

Q2の職場環境の悩みから「うつ病」もしくは「抑うつ状態」になった医師は29%にも達した。
また、うつ病を患い転職もしくは退職に至った医師が身の回りにいたか?
という質問では、61.3%もの人が「いる」と答えている。
医師も「ブラック労働者だ」と答えた人がなんと約7割
驚くべき結果である。
医師は社会的地位の高い職業であり、一般的に「ブラック」とは程遠い世界の人たちに見える。
しかし、現実はこのアンケート結果が示すとおりだ。
特に医療の最前線に立つ医師がうつ病になってしまうというケースは深刻である。
事実、2007年には過酷な長時間労働と上司からのパワハラにより自殺をした男性勤務医もいる。
このようになぜ7割の医師が自らブラックだと答えるに至ったか、もう少し詳しく知る必要がある。
また、一方で「ブラックではない」と答えている医師の意見も聞かねば全体像は見えてこないだろう。
次回後編では、実際にインタビューから見えてきた医師たちの心の中に迫る。
(つづく)