医療行政最前線 2/14号かかりつけ医機能発揮の医療機関 初診患者に対する診療を加算等で評価する方向に (厚生労働省 中央社会保険医療協議会)

株式会社日本医療企画

2018-02-14

 中央社会保険医療協議会(中医協、会長=田辺国昭・東京大学大学院教授)は1月12日の総会で、2018年度診療報酬改定に向けて厚生労働省が提示した「議論の整理案」を了承した。このなかで、かかりつけ医にかかわる事項として外来診療について「外来医療のあり方に関する今後の方向性を踏まえ、外来医療における大病院とかかりつけ医との適切な役割分担を図るため、より的確で質の高い診療機能を評価する観点から、かかりつけ医機能を有する医療機関における初診を評価する」と記載された。
 加えて、「在宅時医学総合管理料等について、患者の状態に応じたきめ細かな評価とするため、算定患者の状態に係る要件を追加する。また、かかりつけ医機能を有する医療機関による在宅医療への円滑な移行を推進する観点から、在宅時医学総合管理料等および地域包括診療料等の取扱いを見直す」とされた。

・初診料の評価 両側で意見の相違が

 かかりつけ医機能については、1月10日の中医協総会で、厚労省が「外来医療(その4)」のなかで論点として以下を挙げた。
▽再来患者の診療では、かかりつけ医による継続的な診療、重症化予防の取り組みの推進、訪問診療におけるオンラインを併用した診察、医薬品の適正使用等といった、効果的・効率的な医療体制の推進とともに、▽初診患者の診療を担う機能については、大病院ではなく、患者が気軽に相談できる機能や専門医療 機関へ紹介できる機能を有する医療機関による、より的確で質の高い診療機能を評価する方向で対応──してはどうか。
 具体的な対応としては、たとえばかかりつけ医機能を評価する「地域包括診療料」を届け出ている医療機関を対象に、初診料に何らかの加算をつけることなどが考えられる。
こうした提案に対し、診療側委員は評価する方向に賛意を示した。さらに、継続的な診療を行っている再診患者で新たな病気を発見した場合に、初診患者と同様にかかるコストを評価することを求める意見も上がった。
一方、支払側委員からは、挙げられている機能はむしろ当たり前のものだとして、否定的な意見が示された。さらに、「医療保険制度の持続可能性を踏まえたなかで、慎重に検討すべき」「施設基準によって患者負担に差が出るというところに違和感がある」など、慎重な対応を求める意見が出された。

・地域包括診療料の普及で財政に影響も

 また、「整理案」のなかでは、地域包括診療料の取り扱いの見直しにも触れられている。具体的には要件のなかの24時間対応や、在宅療養支援診療所(病院)などに対する緩和策が導入されると見込まれている。
地域包括診療料は、「かかりつけ医」に対する評価として14年度診療報酬改定で創設されたものである。しかし、当初から施設基準が厳しく、届け出る医療機関の数は低迷していた。そこで16年度改定では、施設基準の常勤医師数を「3人以上」から「2人以上」に緩和されたものの、届け出医療機関数は16年7月1日時点で197施設にとどまっている。また、地域包括診療加算の届け出医療機関も5238施設にとどまる。
 厚労省としては、要件を緩和することで普及を促し、外来医療の機能分化につなげる意図があると思われる。ただし、地域包括診療料は評価が高く、加えて初診料の評価の要件としてこれが用いられることになれば、二重に保険財政に影響を与えることになる。支払側はこうした影響を憂慮しているわけだ。
 改定率が本体プラスになったとはいえ、医療保険財政が厳しい状況に置かれていることに変わりはない。何らかの均衡策が取られる可能性も否定できない。

人気記事

【厚生労働省】<br>中央社会保険医療協議会総会<br>ばらつき大きい消費税負担<br>より踏み込んだ議論を早急に
2026-06-09
医療行政最前線

同一建物と単一建物

中村 哲生(医療法人永生会 特別顧問)

同一建物と単一建物
2019-06-26
在宅医療最前線

ミスリード

中村 哲生(医療法人永生会 特別顧問)

ミスリード
2025-05-07
在宅医療最前線
【日本介護医療院協会】<br>2025年度調査結果<br>高い稼働率の一方で重度化進む<br>介護報酬は改善傾向だが負担増
2025-11-25
医療行政最前線