日本医師会は6月5日、『超高齢社会におけるかかりつけ医のための適正処方の手引き(3)糖尿病』をホームページで公表した。
これは、同会が日本老年医学会の協力のもと制作しており、これまでも2017年に『同(1)安全な薬物療法』、18年、『同(2)認知症』を公表してきた。今回の手引きでは、「低血糖の症状が出にくいため重症低血糖を起こしやすい」「認知機能障害、うつ、サルコペニア、フレイル、ADL低下、転倒、低栄養、多剤併用などの老年症候群をきたしやすい」──といった、高齢者の糖尿病の特徴を紹介したうえで、治療の目的として、合併症の進行予防、生活機能やQOLの維持・向上による健康寿命延伸、患者とその家族の治療負担軽減を挙げている。また、血糖コントロールの重要性を強調し、「高齢者糖尿病の血糖コントロール目標設定」として、目標値の考え方や必要な評価ツールなどを示した。
薬物治療については、高齢者の多剤併用や服薬アドヒアランスの低下などの課題を踏まえ、患者・介護者の希望に沿った治療薬剤選択が望ましいとし、参考資料として、「高齢者糖尿病の薬剤使用の注意点」をまとめている。このほか、日本老年医学会の「高齢糖尿病患者に特に慎重な投与を要する薬物リスト」をもとに、日本糖尿病学会の監修を得た薬剤の一覧表「高齢糖尿病患者の治療において注意を要する薬物と推奨される使用法」も掲載している。
同会では今後、高血圧症や高脂血症などの適正処方の手引きも作成する予定である。
参照
日本医師会ホームページ