社会保障審議会介護給付費分科会は2020年12月23日、21年度介護報酬改定に関する審議報告の概要を公表した。今次改定では、従前の大規模災害の発生のほか、流行中の新型コロナウイス感染症の影響を鑑みるとともに、従来からの団塊の世代のすべてが75歳以上となる2025年に向け、2040年も見据えた、次の5つの柱を提示した。
①感染症や災害への対応力強化感染症や災害が発生した場合であっても、利用者に必要なサービスが安定的・継続的に提供される体制を構築するとし、以下の取り組みの推進をするとした。▽感染症対策の強化、▽業務継続に向けた取り組みの強化、▽災害への地域と連携した対応の強化、▽通所介護等の事業所規模別の報酬に関する対応たとえば、介護サービス事業者に感染症の発生およびまん延に関する取り組みの徹底を求める観点から、現行の委員会の開催、指針の整備、研修の実施等に加えた訓練の実施などの取り組みを義務づけることなどを挙げている。
②地域包括ケアシステムの推進住み慣れた地域で利用者の尊厳を保持しつつ、必要なサービスが切れ目なく提供されるよう取り組みを推進することとし、次のような方策を挙げている。
▽認知症への対応力向上に向けた取り組みの推進、▽看取りへの対応の充実、▽医療と介護の連携の推進、▽在宅サービスの機能と連携の強化、▽介護保険施設や高齢者住まいにおける対応の強化、▽ケアマネジメントの質の向上と公正中立性の確保、▽地域の特性に応じたサービスの確保
医療と介護連携の推進については、医師等による居宅療養管理指導において利用者の社会生活面の課題にも目を向けた地域社会におけるさまざまな支援につながるように留意、ケアマネジャー等との情報共有に努めるように示唆。また、介護医療院について、長期療養・生活施設の機能の充実の観点から、長期入院患者の受け入れ・サービス提供を新たに評価するとともに、介護療養型医療施設について、22度末の廃止期限までの円滑な移行に向けて、一定期間ごとに移行の検討状況の報告を求めるとした。
③ 自立支援・重度化防止の取り組みの推進
制度の目的に沿って、質の評価やデータ活用を行いながら、科学的に効果が裏づけられた質の高いサービスの提供を推進することを目的に、以下のような取り組みを挙げている。
▽リハビリテーション・機能訓練、口腔、栄養の取組の連携・強化、▽介護サービスの質の評価と科学的介護の取組の推進、▽寝たきり防止等、重度化防止の取り組みの推進
加算等の算定要件について見直しを行い、「生活機能向上連携加算」などについてはICTの利活用等による訪問をともなわない利用者の状態把握・助言する場合の評価区分の新設などを示している。
④ 介護人材の確保・介護現場の革新
介護人材の確保・介護現場の革新に対応を喫緊・重要な課題として、以下の取り組みを推進するとした。
▽介護職員の処遇改善や職場環境の改善に向けた取り組み、▽テクノロジーの活用や人員基準・運営基準の緩和を通じた業務効率化・業務負担軽減、▽文書負担軽減や手続きの効率化による介護現場の業務負担軽減
⑤ 制度の安定性・持続可能性の確保
必要なサービスは確保しつつ、適正化・重点化を図るとして、▽評価の適正化・重点化、▽報酬体系の簡素化──の2点を挙げた。また、これらの柱とは別にその他の事項として、事故報告様式の作成・周知のほか、施設系サービスにおける安全対策担当者を定めることなどを義務づける旨や、介護保健施設における食費の費用額等の方向性も示唆した。