医療行政最前線8/17号労働研究・研修機構 労働者・企業調査
エッセンシャルワーカーのうち医療従事者の感染リスクへの自覚は8割以上と最も高い

株式会社日本医療企画

2021-08-17

 独立行政法人労働政策研究・研修機構は7月9日、「新型コロナウイルス感染症の感染拡大下における労働者の働き方の実態に関する調査」の結果を公表した。同調査は、2020年1月以降新型コロナウイルス感染症によって日本の経済社会が大きな影響を受け続けているなか、主に20年4~5月に出された1回目の緊急事態宣言下に、国民生活・経済の安定確保のため業務の継続が求められた業種(エッセンシャルワーカー)の働き方の実態と課題を把握することを目的としている。

 調査対象は、医療・福祉(医療業、社会保険・社会福祉・介護事業)を含む25業種に分類される企業(有効回答数7935件)および、その業種で従事する労働者(有効回答数2万件)である。まず、新型コロナ感染拡大下における、労働者が感じている通勤時・職場での感染リスクについて「緊急事態宣言下(20年4~5月)」「20年9月~10月」「直近(21年1月)」の3時点で尋ね、その推移を見た。すると、通勤時の感染リスクを感じた人の割合は全期間を通じて約45%で推移し、20年9~10月にはいったん43%に低下したものの、直近はまた上昇していた。また、職場での感染リスクに関しても約60%で推移しており、20年9~10月で若干低下し、直近でまた上昇していた。

 さらに、感染リスクを感じた人の業種の内訳を見ると、全期間で「医療業」が77・3~79・9%と約8割で最も多く、次いで「社会保険・社会福祉・介護事業」(70・9~72・8%)、「生活関連サービス業」(68・8~69・7%)、「小売業」(63・9~66%)、「宿泊業」(60・4~62・5%)と続いた。このように、医療従事者は他の業種と比べても、感染リスクを感じている人が非常に多いことがわかる。なお、業務における対面の程度も聞いているが、対面で接する頻度が高いほど、感染リスクを感じている割合も高かった。

<小見出し>
給与は対前年とほぼ同じだが増給した企業はあまりない

 一方、企業に対してはコロナ禍における正社員、非正社員それぞれの「緊急事態宣言下(20年4~5月)」「20年9月~10月」「直近(21年1月)」での前年同時期と比べた1人当たりの給与(基本給+時間外手当も含む)および、20年夏・冬の賞与の変化についても聞いた。

 結果、正社員の場合、緊急事態宣言下では、「ほぼ同じ」が78・1%と最も高く、「増加」した割合は5・4%、「減少」した割合が12・9%と、前年同時期と変わらないところがほとんどだったものの、減少させた企業が増加させた企業を上回っていた。以降の期間もこれらで推移し、「減少」の割合は若干縮小したものの、「増加」の割合は変わらなかった。なお、非社員についても、おおむね同じ傾向で推移していた。

 なお、賞与面については、20年夏季賞与は対前年同時期で「ほぼ同じ」(41・3%)、「減少」(12・1%)、「増加」(3・6%)だったが、20年冬季賞与では、「ほぼ同じ」が若干低下し(39・9%)、「減少」(13・4%)「増加」(5・2%)がそれぞれ微増していた。

 また、各企業の感染対策等の精度の整備状況についても聞いたところ、コロナ禍以前から整備していたものについては、「従業員の希望に応じたシフトの融通」(38%)が最も高く、次いで「健康相談」(36・3%)、「せきや発熱がある人への適切な対応(特熱休暇の付与、出勤の停止)」(27・4%)などが挙げられた。

 一方、新型コロナの感染拡大を受けて新たに整備したものについては、「有事の際のイベントや集会、会議、懇談会などの中止・自粛」(69・4%)、「消耗品(マスク、アルコール、スプレー等)の配布または費用負担」(63・9%)、の順に高かった。