医療行政最前線10/19号日本放射線腫瘍学会 健康成人調査 など
放射線治療の詳細な情報の周知はまだ途上なものの肯定的なイメージが増加

株式会社日本医療企画

2021-10-19

 日本放射線腫瘍学会は8月、「健康成人調査」および「乳がん患者調査」の結果を公表した。

 前者は、日本人のがんに関する知識や放射線治療に対するイメージの変化を明らかにすることを目的に継続して実施している。なお、調査の背景として、がんの3大治療の一つである放射線治療の施行件数が、日本では諸外国と比較して他の治療法よりも少ない状況がある。

 一方後者は、これまで乳がん患者の目線に立った治療の印象や、放射線治療の認知度に関する報告が少なく、国内の実状を明らかにする目的で行われた。
健康成人調査では、がんと診断されたことのない20歳以上80歳未満の日本人男性1570人、女性1520人から回答を得ている。また、乳がん患者調査については、初発の乳がん診断後1年以上5年未満の女性乳がん患者309人の回答を得ている。


がんの放射線治療の詳細をすべて把握する人は少数派
 はじめに、がんの放射線治療の情報に関する複数の設問の正答率を見ると、「放射線治療はがんの3大治療の一つである」(81・4%)、「放射線治療は局所治療」(72・8%)、「放射線治療はがん細胞だけではなく、正常細胞にもダメージを与える」(68・4%)、「放射線治療のよく効くがんと、あまり効かないがんがある」(55・7%)などの設問は正答率が高かった。

 一方、「放射線治療は入院ベッドがあるような病院では、全国どこでも同じように受けられる治療である」(39・6%)、「放射線治療は痛みを伴うため、がんの末期の人に行うことは稀である」(27・9%)、「がん患者に対して放射線治療が行われる割合は、海外に比べて日本が多い」(10・5%)、「放射線治療は複数回セットとして行われることが多いが、1回当たり1~2時間程度はかかることが多い」(9・9%)といった、詳細に関する正答率は低かった。

 このことから、放射線治療の概要は知っていても、治療の詳細や日本での施術事情についてはまだ知らない人が多いと言える。

 次いで、3大治療のイメージについてもそれぞれ聞いたところ、昨年調査と比較して「手術」「薬物治療」が横ばいもしくは低下に対し、「放射線治療」は+0.6ポイントと若干ながら向上に転じた。また、年代別に見ると、50代および60代で特に顕著に前年比増の傾向が見られた。

 さらに、放射線治療の詳細なイメージについて聞いたところ、「イメージがつかなくて怖い」と答えた割合は前年より3・2ポイント増の54・7%といまだ半数近い。一方で「治療後も生活の質が保たれる」は+10・1ポイントの44・4%、「他の治療法と比べて治療期間が短い」(26%)も前年比+6・9ポイントなど、肯定的な意見も徐々に上がってきているようだ。


放射線治療後のイメージ「想定より楽」が多数
 続いて、乳がん患者調査では、乳がん患者のうち乳房温存手術を実施した人で術後に放射線治療を受けた割合は86・4%だった。乳房温存手術では、術後には原則的に放射線治療を追加する必要があるが、それでも受けていない人が約1割いたということになる。なお、必要性を知った時期を聞くと、「乳がん診断から手術までの間に知った」(72・1%)が最も多かったが、「乳がん手術後に知った」(9・7%)、「今まで知らなかった」(6・5%)もいた。

 乳がん患者に放射線治療前のイメージを尋ねると、「体力の低下・倦怠感」(42・1%)が多い一方、「髪が抜ける」(13・3%)など、誤ったイメージを持つ人も一定数いた。しかし、治療後のイメージについては、「手術」「薬物治療」「放射線治療」の経験がある患者に聞くと、「治療前に思っていたより楽だった」と答えた割合は、放射線治療が最も多かった。

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