在宅医療最前線4/2恨みのエネルギーは恐ろしい

中村 哲生(医療法人永生会 特別顧問)

2025-04-02

 先般、衆議院議員の蓮舫さんへ金銭を要求する文書を送ったとして52歳男性を強要未遂容疑で逮捕したという事件が有りました。この犯人の動機はと言うと旧民主党政権時代に仕分けされた会社に勤務していたそうで、会社は仕分けにより事業縮小となりこの52歳男性は不本意な異動を強いられたという恨みだったそうです。

 事業仕分けというと2010年です。すでに15年の月日が経ちます。とう事は15年間ずっと恨み続けマグマのように心に秘めていたという事になります。よくアンガーマネジメントとして怒った時には「6秒我慢すると怒りを忘れる」という事を聞きますが、怒りと恨みは違うという事です。

 「怒り」は長く続かないという特徴があります。一方「恨み」というのは長い時間持続するということです。「怒り」も「恨み」もどちらも人の感情ではありますが性質は異なるという事です。どのように性質が違うかと言うと「怒り」は自分に対するものです。自分の中で一定時間の中で解決方法を見出して怒りを収めていく事が出来ます。そして「恨み」「憎しみ」「憎悪」というものは長く続くだけでなく、より増幅する事もあります。「恨み」のエネルギーはどこかのタイミングで復讐の感情に変わって行くそうです。

 更に「恨み」の感情ですが長く続くだけではなく広くもなるという事です。広くとはどういう事かというと慣用句にもありますが「坊主憎けりゃ袈裟まで憎い」という事です。そう憎み感情はその人だけにとどまらずその周囲まで巻き込んでしまうという事だそうです。
人に恨みをかってしまうのが、どれほど怖いかという事ですね。

まあ僕は出来る事なら沢田研二になりたいなぁ~
どういうこと?かって・・そう あの名曲です。
「憎みきれないろくでなし」これが一番良いかもしれません。

 ここまで全く医療とは関係ないお話しでした。医療現場でも恨みによる事件はいくつも起こっています。皆さんの記憶に新しい所では大阪市の心療内科、精神科の医療機関に対する恨みで巻き込み型自殺による放火殺人事件です。この事件では医師を含む25人が犠牲になりました。

 もう一つは埼玉県ふじみ野市の事件ですが犯人の母親へ訪問診療をしていた医師を人質にしてその後散弾銃で医師を殺害、理学療法士や介護士にも危害を加えたという事件もありました。このケース医療側に何か非があった訳ではありません。全くの逆恨みです。いつどのように恨まれるのか判りませんが注意をしていてもいつ自分に火の粉が降りかかって来るか判らない世の中ですね。

それではいつもの謎かけで〆ます
激怒とかけまして、船の停泊とときます  その心は?
怒り(碇)を鎮め(沈め)ましょう
それではまた次回宜しくお願い致します。



【執筆者のご紹介】
中村 哲生(なかむら てつお)
1965年生まれ
医療法人永生会 特別顧問
多くの医療機関の顧問を歴任
開業に関するコンサルは70ヶ所以上
在宅医療に関するDVD
著書「コップの中の医療村」
2017年APECに参加

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