在宅医療の元年は1986年といわれています。
訪問診療という、定期的に訪問する家庭医の概念が初めてできました。
在宅医療は、1986年から改定毎に新しい点数が新設(年表参照)されてきました。
1992年は、寝たきり老人在宅総合診療料という、現在の在宅医療の包括点数の原型が誕生しています。
それから6年間、各種の管理料や加算などの点数が新設されながら、1998年、「24時間連携加算」という、現在の在宅医療の考え方の柱となる、24時間の対応という難易度の高い一方で、とても高い点数がつくようになりました。
2001年、小泉純一郎首相の構造改革に国民の大多数が期待する中、小泉内閣が誕生しました。小泉内閣の下に聖域無き構造改革が始まりました。診療報酬は史上初のマイナス改定となり、病院の点数は軒並み下がりました。在宅医療の点数も若干下がりました。
2006年はちょうど在宅医療20年目の節目の年ですが、在宅療養支援診療所という新しい概念ができました。在宅での看取り数などを社会保険庁(厚生局)への届出が義務化されました。
2008年の改定は①老人ホームなどの施設が病院などの退院後の受け入れ先との位置づけされました。 ②重傷者への訪問看護の点数が引き上げらました。 ③他職種間のカンファレンスへも点数が付くようになりました。
在宅医療より介護保険の方が古いと思っている方もあるようですが、在宅医療は介護保険より14年も前に始まっています。
1993年の細川政権時代には福祉目的税が廃案になっています。福祉目的税と介護保険の内容が同じか否かは判りませんが、税から保険と名称が変わることで、成立しました。
「後期高齢者の名前が悪いから長寿医療制度に変更しよう」
いかに制度の名称が大切なのかというのが解りますね。
日本人はそれで納得してしまう。そんな国民性なのでしょうね。
中村 哲生(なかむら てつお)
1965年生まれ
医療法人永生会 特別顧問
多くの医療機関の顧問を歴任
開業に関するコンサルは70ヶ所以上
在宅医療に関するDVD
著書「コップの中の医療村」
2017年APECに参加
年間100本ほどの講演を行っている。