2月9日に了承された2022年度診療報酬改定の答申では、「機能強化加算」の算定要件を厳格化し、実績要件などを追加する。現行の「機能強化加算」(80点)の要件としては、「『地域包括診療料』『地域包括診療加算』『小児かかりつけ診療料』『在宅時医学総合管理料』『施設入居時等医学総合管理料』のいずれかの届出があること」だった。しかし、今次改定では、次のいずれかを満たすことが要件となっている。
■ 「地域包括診療料1」か「地域包括診療加算1」を届け出ている。または、「地域包括診療料2」か「地域包括診療加算2」を届け出のうえ、直近1年間に、▽「地域包括診療料2」の算定患者が3人以上、▽「在宅患者訪問診療料Ⅰ」の1、「在宅患者訪問診療料Ⅱ」、または「往診料」の算定患者3人以上──のいずれかを満たしている
■ 「小児かかりつけ診療料」を届け出ている
■ 「在宅時医学総合管理料」または「施設入居時等医学総合管理料」を届け出ている機能強化型在支診または在支病である。あるいは、「在総管」または「施設総管」を届け出ている強化型以外の在支診または在支病で、直近1年間に▽(在支診の場合)緊急往診実績3件以上、▽(在支病の場合)緊急往診または緊急受入れ実績3件以上、▽在宅看取りまたは15歳未満の超重症児・準超重症児に対する在宅医療1件以上──のいずれかを満たしている
また、地域における保健・福祉・行政サービス等に係る対応として、次のような常勤医師の配置要件も新設された。
■ 介護保険利用に関する相談への対応、要介護認定に係る主治医意見書作成を行っている
■警察医と協力している
■ 母子保健法に規定される乳幼児の健康診査を実施している
■定期予防接種を実施している
■ 幼稚園医、保育所の嘱託医、小学校・中学校・高校の学校医などに就任している
■地域ケア会議に出席している
■ 市町村の一般介護予防事業に協力している
■ かかりつけ医機能を有する医療機関であると院内の見やすい場所やホームページに掲示している
地域包括診療料・加算
小児かかりつけ診療料も見直し
また、「機能強化加算」の算定にかかわる「地域包括診療料」「地域包括診療加算」「小児かかりつけ診療料」などについても、次のような見直しが行われている。
【地域包括診療料・加算】
慢性疾患患者に対するかかりつけ医機能の評価を推進する観点から、対象疾患に慢性心不全および慢性腎臓病が追加された。また、患者への生活面の指導については、医師の指示を受けた看護師や管理栄養士、薬剤師が実施しても差し支えないこととしている。
さらに、成人に対する予防接種の増加を踏まえ予防接種にかかわる相談に対応すること、また、そうした相談が可能なことを院内掲示等で周知することが示された。
【小児かかりつけ診療料】
小児に対する継続的な診療を一層推進する観点から、時間外対応を考慮した見直しが行われた。
具体的には、自院の診療時間外にも患者、またはその家族の電話等による相談などの時間外対応ができる体制を整備している小児科医療機関については「小児かかりつけ診療料1」を算定可能。さらに、処方せんを交付する場合は初診時641点、再診時448点となる。
一方、「時間外対応加算3」の届出または初期小児救急医療に参加し、休日または夜間診療を年6回以上実施している小児科医療機関は「小児かかりつけ診療料2」を算定することが可能となる。こちらは、処方せん交付の場合、初診時630点、再診時437点と、現行の「小児かかりつけ診療料」から1点引き下げとなっている。