厚生労働省は5月11日、「地域医療構想および医師確保計画に関するワーキンググループ(WG)」(座長=尾形裕也・九州大学名誉教授)の会合を開き、医師確保計画を通じた医師偏在対策について本格的な議論を開始した。
この日の会合で厚労省は、各都道府県の地域医療対策協議会の開催状況や医師派遣実績、さらに「医師偏在指標検討小委員会」の取りまとめとして、2020年度のキャリア形成プログラムの取り組み状況等について報告した。そのうえで、以下の3点を医師偏在指標見直しの論点として示し、意見を求めた。
▽ 大学病院等に勤務する医師が他の医療機関へ非常勤医師として派遣されている実態をどう反映するか(現在の医師偏在指標では主たる従事先のみを考慮)
▽ 引き続き医師偏在指標の受療率計算に全国受療率を用いることをどう考えるか
▽ 患者調査による医療需要(受療率)算出について、コロナ禍での20年調査(今年6月公表予定)では入院・入院外ともに医療需要の減少が予測されるため、17年調査を用いることはどう考えるか
事務局が整理した論点に対し、複数の構成員が、医師確保計画の策定根拠となる医師偏在指標と各地域の医療現場の実態にかい離があると指摘。「偏在指標の算出では開業医を別枠とすべき」「多数の医師が在籍する大学病院が所在する構想区域のあり方を再考すべき」など、偏在指標の算出方法に意見が集中した。同WGは、引き続き集中的な検討を進め、今秋を目途に意見を取りまとめる方針だ。