経済同友会(代表幹事=櫻田憲悟・SOMPOホールディングスグループ・CEO取締役代表執行役会長)は4月22日、「持続可能財政構造の実現に向けて」―『骨太方針2022』に対する意見」を発表した。
提言ではまず「豊かな国民生活の前提となる持続可能な財政構造の実現」を掲げ、▽新型コロナウイルス感染症対策の効果と妥当性の速やかな検証、▽新型コロナウイルス感染症対策にかかる債務償還プランの具体化、▽デジタル社会を前提に、イノベーションを促す規制体系の再設計、▽現役世代に偏った負担構造の見直し、▽独立財政機関の早期創設――を柱として挙げた。
さらに、社会保障改革の具体的施策として、①データの利活用を通じた給付の適正化と新たな価値創造、②医療・介護提供体制の効率化、③医療・介護保険制度へのサーキットブレーカーの導入、④受診時定額負担の導入、⑤後期高齢者の医療費自己負担2割の対象範囲の拡大、⑥基礎年金のマクロ経済スライドの名目下限の撤廃と拠出期間の延長──の6項目を進めるよう主張している。
このうち③では、公的年金制度には、年金支給額が自動調整されるマクロ経済スライドが導入され、一定程度の規律が働く仕組みが確保されていると指摘。一方医療・介護保険では、受益と負担の適正化に向け、多様な改革メニューが提言されてきたが、進捗はわずかとした。そのうえで、現在は出来高払いの医療・介護保険にも自動調整機能を盛り込み、医療・介護給付の伸びが経済成長率を上回らないよう、関連法令の改正に向けた議論を始めるべきとしている。