医療行政最前線8/1空っぽの交番

中村 哲生(医療法人永生会 特別顧問)

2023-08-01

 交番の覗くと警察官不在の交番をよく見ます。以前神戸商船大学の大学院生の拉致・暴行死事件で批判された事で兵庫県警は完全24時間警官常置化をする事になりました。兵庫県内のすべての交番に夜間も必ず警察官を配置して突発事件に即応できる勤務体制を導入したそうです。夜間の勤務警察官は1日あたり35名の増加となったそうですが、夜間の対応能力は大幅に増強されたそうです。

 以前、警視庁の調査によると地域住民は警察官の不在を減らして欲しいという要望は大幅に減らして欲しいが64.5%、今より若干減らして欲しいが13.7%で合計78.2%もの人が交番の警官不在に不安を抱えているという結果になったそうです。

 さて何故私が空っぽの交番の事を書いたかという事ですが、在宅医療の診療所ですが私はその日勤務する医師の数より看護師は1名多く必要だと思っています。医師と看護師が患者宅へ出かけてしまい、診療所の中に医師も看護師もだれもいない状況というのは空っぽの交番と同じ状況なのです。患者からの緊急要請に対して迅速な対応ができないのです。

 看護師が1名クリニックに残っていると患者さん、ご家族、ケアマネージャー、訪問看護ステーション、病院など色々な問い合わせに迅速に対応する事ができます。経営者はついつい中に看護師が残っていると訪問していない、看護師が余っているなどと判断するところがあります。もったいないという気持ちは分かりますが、迅速な対応が出来る医療機関と出来ない医療機関では地域からの信頼度は格段と変わってきます。この1名の待機看護師により新規患者の依頼数は大幅に増加するのです。

 逆に待機のいない看護師の医療機関では新規依頼の連絡が来た時に事務員が第1報を受けますが、夕方に医師や看護師が戻ってからの対応という所を目にします。例えば入院が必要という判断を医師がしたとします。病院の受け入れ態勢はいかがでしょうか?連携先の病院も日勤から夜勤に体制が変わる時間です。家族の入院の手続きをはじめ処置や検査の体制を含め日中の対応とは差があります。

 新規依頼についてはいかがでしょうか?ケアマネジャーからの依頼に対する返答が遅い事で他の医療機関に決まってしまう事もあります。クリニックで待機をする看護師がいる事で日中にできる仕事は多々あります。結果従業員の残業が減り経費は減るのです。在宅医療イコール24時間365日体制というのは全員が24時間働く事ではありません。

 組織化により効率よく健全に24時間体制を構築する事が必要です。在宅医療の医療機関の中には間違いなくブラック企業に属するようなところがあります。医師に限らず看護師、事務員、その他の皆さんの残業時間が驚異的な数字となっているクリニックを見たことがあります。もちろん人件費を抑える事は重要です。使い方、効率、質向上色々な観点からクリニックのパフォーマンスを最大限生かせる体制構築を目指して行きましょう。



【執筆者のご紹介】
中村 哲生(なかむら てつお)
1965年生まれ
医療法人永生会 特別顧問
多くの医療機関の顧問を歴任
開業に関するコンサルは70ヶ所以上
在宅医療に関するDVD
著書「コップの中の医療村」
2017年APECに参加
年間100本ほどの講演を行っている。


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