医療機関にとって頭の痛い患者、家族とは俗にいうモンスターペイシェントです。初めから我儘な患者も居れば何かの行き違いによりモンスターへと変貌する人もいます。また単なるクレーマーで何につけても文句を言う方もあれば暴言や暴力を繰り返す患者、無理難題を要求する患者、などいくつかのパターンがあります。
理不尽で無理難題を言う患者とはどういう患者でしょう。基本的にこういう患者は自分だけを特別扱いをして欲しいタイプです。例えば受診を待たずに順番を先にして欲しい、優先して欲しい。衛生材料を無料で沢山出して欲しい(治療に必要以上の量を要求する)。難癖をつけては医療費を無料にさせようとする。医療ミスと言えと強要する。
確かに自分が病人の立場とすれば診療までの待ち時間は長く感じるし、体調が悪い中ずっと椅子に座っている辛さは解からない事も有りません。しかしそれは誰もが同じ事で原理原則と中立公平という事から待つことしかできません。すでにこの待ち時間でイライラしている状況下において些細な事で爆発しやすい環境が出来上がっています。
受診後の予後が長い方、慢性期の方など思い通りに体調が戻らないと患者や家族は医療ミスなのではないか疑心暗鬼になり医師に説明を求めます。当然ですが医療機関の医師や看護師はそれに対し丁寧に説明をする事でしょうが頭から医療ミスだと決め込んで来ている方にはどれだけ説明しても理解する事は無く3時間4時間粘るような方もいます。自分の要求が通らないと暴言を吐き大声で怒鳴ります。入院患者においては消灯時間や食事提供の時間の変更を求めたり大声で電話をしたり好き放題の患者もいます。
クレーマーへの対応ですが複数で協力して対応する事と窓口を一本化する事が大事です。最近のクレーマーを病院、薬局、老人ホームなどへ話し合いというよりいきなり訴訟をする方も増えています。病院、薬局、老人ホーム全てに対して訴訟をする訳ではありません。どこか一つを敵にしてそれ以外の連携先との分断を図ろうとします。例えば老人ホームを訴えるとすると病院や薬局を引き込んで老人ホームの落ち度を証人としてお願いしようとしますが我々医療機関としては検査の結果をそのままお伝えする事は出来ますがクレーマーの都合通りのシナリオでお話しするような事はありません。連携している老人ホーム、薬局、医療機関はクレーマーの要素がある患者家族についてはそれぞれ情報を統一して最新の注意を払います。それはあくまでクレーマーに対する対策であって事実を捻じ曲げるような事はしません。
さて医療機関の現場をみていますと、医師や看護師は患者や家族の話を聞いて納得をするよう説明を行いますが、クレーマーという存在の方は絶対に納得はしないものです。モンスターペイシェントとは元々不当な要求をしている訳ですのでモンスターが納得するというのはその不当な要求を妥協して飲むという事になります。一度譲歩をしてしまうとその後は不当な要求は常習化してしまいます。
対応としては不当な要求に対してはキッパリと断り反論する事です。徹底的に反論して諦めさせる事が基本になります。これはあくまでクレーマーに対しての行動です。クレーマーでもなんでもない正当なクレームに対してこんなことをすればその病院はすぐにネットに書き込まれてしまいますのでキチンと相手を見極めて下さいね。先ほども書きましたが公正中立・対等・公平という点を貫いてください。クレーマーは一度うま味を得てしまうと何度でも謝罪と金員を要求します。某国が解決済みと言っているのに何度でも蒸し返して謝罪と解決金を求めて来るのと同じです。病院の場合、後は弁護士さんにお任せする事になるのでしょうか某国の場合は調印に第3者のアメリカを入れても蒸し返してきますのでなかなか手ごわいです。
クレーマーの上等文句があります。「前の病院ではタダでくれていた」「前の病院はしてくれた」良く言われます。この言葉に看護師さんは弱いようです。僕らの気持ちとしては「じゃあ そちらの病院へ行ってくれ」と心の中で呟やきます。がここで診療拒否を行うとクレーマーの次の上等文句は「応招義務違反」、そして精神的苦痛を受けたので「慰謝料」こういう流れです。今のところ過去の裁判でこういうケースで応召義務違反を取られて医療機関が負けた事は一度も無いそうですのでご安心ください。
それでは最後に謎かけを一つ。「前の病院ではやってくれた」という患者の言葉を聞いて心の中で「じゃ そっちへ行ってくれ」とそっと心の中で思うとかけまして焼きタラコとときます。
その心は「呟いてます」(粒 焼いてます)
お後がよろしいようで・・・

【執筆者のご紹介】
中村 哲生(なかむら てつお)
1965年生まれ
医療法人永生会 特別顧問
多くの医療機関の顧問を歴任
開業に関するコンサルは70ヶ所以上
在宅医療に関するDVD
著書「コップの中の医療村」
2017年APECに参加
年間100本ほどの講演を行っている。