僕が事務長の仕事をする上で基本はニコニコ ポーカーフェイスが大事だと思っています。理事長や院長がイライラしていると院内の空気はピリピリと張りつめます。いつもニコニコしている院長が居る所は空気が澄んでいます。院長に限らず、看護師長、事務長、スタッフ誰かがイライラしている職場の雰囲気は空気が濁っています。
マイナスの感情とはどんなものが有るでしょうか?いわゆる煩悩の数108個でしょうか?妬み、嫉み、怒り、不安、孤独、悲しみ、恥ずかしい、不信、恐怖、心配、焦り、不愉快、不機嫌、軽蔑、差別、退屈、ストレス、無気力、動揺、混乱、後悔、屈辱、切ない、哀れ、嫌悪感、増悪、敵意、反感、羨む、絶望、憂鬱、惨め、疎外感・・・、きっとまだまだ沢山のマイナスの感情があるかもしれません。
人間の脳の構造上、他人を理解するために相手の感情を受け入れるという仕組みがあるそうです。映画を観て感情移入する事で泣いてしまうという現象と同じだそうです。院内に上記のような感情を表に出す人がいるとマイナス感情は職場の環境を悪化させてしまいます。逆にポジティブな人材が多い職場ではプラス感情も伝染します。
なんの根拠もありませんが自身の経験上ではポジティブ感情よりもネガティブ感情の方が強く影響を与えるイメージがあります。マイナスの感情は一見表には出にくい、そして経営者サイドからは見えづらいという事も有ります。職場内にて静かに深く広がって行き、気づいた時には手遅れというような状況になる事があります。まるで沈黙の臓器と呼ばれる肝臓癌のように症状が現れた時は手遅れという状況です。
職場ではマイナス感情の方が退職したり、移動する事で一気に空気が変わる事もあります。さてマイナス感情の伝染ですが直接、話す訳でもなく、コミュニケーションが無い場合でも伝染します。まさに空気感染です。思った以上に感染力が強く周りに与えるストレスの強さには驚かされます。
他人から貰ったストレスは自分では原因が判らない事があります。なぜ自分にストレスが溜まっているのかが判らないのですから対処する事ができません。怒りっぽい上司がいる職場ではストレスの空気感染が発生しやすくなります、自分が叱られている訳でもなく他の人が叱られているにも関わらずその人のストレスを受け止めてしまうのです。自分で職場の仲間を選ぶ事は出来ませんので運、不運もあるでしょう。職場の中にポジティブな人が沢山居てもらえると働き易くなります。まさにポジティブな人材は職場の中の空気清浄機ですね。
【執筆者のご紹介】
中村 哲生(なかむら てつお)
1965年生まれ
医療法人永生会 特別顧問
多くの医療機関の顧問を歴任
開業に関するコンサルは70ヶ所以上
在宅医療に関するDVD
著書「コップの中の医療村」
2017年APECに参加
年間100本ほどの講演を行っている。