12月8日の厚生労働省の中央社会保険医療協議会総会では、「入院時の食費について(その2)」についても検討が行われた。現行の「入院時食事療養費」は、1食当たりの食事療養基準額(総額)と標準負担額(自己負担)を国が定め、その差額を保険給付として支給しているものだ。2006年以降は1食当たりでの算定となっており、1食当たり640円(1日当たり1920円)である。
しかし、1日当たりで見ると、その額は1997年以降据え置きになっており、23年時点で約26年間見直されてこなかった経緯がある。そのなかで、昨今の物価高騰の影響により、食材費や光熱費等も大きく高騰。また、給食業務委託費などの人件費の上昇などもあり、医療機関の給食部門においても安定かつ持続的な給食の提供を危惧する声が高まった。
たとえば、四病院団体協議会なども、「入院中の食事療養に関する要望書」(23年7月12日付)などを提示。医療機関の経営努力を尽くしても抜本的な解決には至っていないとし、治療としても必要となる病院給食制度の抜本的な改革と、「入院時食事療養費」の適正な額への見直しを要望している。
これらの状況を受けて今回、厚労省では、「食材費等の高騰を踏まえた対応を行う観点から、入院時の食費を、たとえば30円引き上げることとしてはどうか」との見直し案を示した。これに対し、診療側・支払い側ともに異論は出されなかった。
なお、この見直しについては、同日の社会保障審議会・医療保険部会でも了承されたうえで、中医協でも了承されている。