医療行政最前線4/2電子処方箋の導入は進むのか?

中村 哲生(医療法人永生会 特別顧問)

2024-04-02

 電子処方箋の導入から1年が経ちました。厚生労働省は令和6年度中に医療機関や薬局への導入を100%にする事を目標としています。しかしながら2024年1月28日時点での導入率はわずか6%となっています。普及が進まない理由はいくつかあるようです。

① 導入費用の負担
② 患者にメリットが無い
③ 医療機関の業務の負担が増える
④ 医療機関のメッリトが無い
⑤ 電子カルテメーカーの開発が進まない

以上の5点が導入が進まない理由です。

① の具体的に導入費用ですが病院では400~600万円程かかります。診療所や薬局では50~60万円かかりこの費用負担をするだけのメリットが無いという事になります。

② ですが患者にとっとってはメリットが全く無い上に本人確認など手間が増えます。患者側から医療機関へ電子処方箋にして欲しいという依頼は有りません。また電子処方箋に関する政府からの啓もう活動も無く電子処方箋自体の事を知らない人も多いようです。

③ 医療機関ですが受付業務が煩雑になりしばらく導入は様子見という感じでしょうか?

④ 医療機関としては現状に何も不便を感じていないので診療報酬上のメリットが無ければ導入しない、または補助金などによる支援があると思っているので今、費用をかけてしまう事が損だと思っている医療機関も多い。

⑤ 電子カルテメーカーがまだ対応をしていないため医療機関が導入できない。

などが進まない原因となっています。

 また医師や薬剤師は本人認証用にHKPIカードの作成をしなければなりませんが申請からカードが届くまでの期間が長いです。医師もHKPIカードを作成する意味やメリットが判らないようで、このカードの申請を躊躇している人もいます。ちなみに薬局さんですが既に導入が終わっていていつでもスタートしてください。いう店舗も結構あります。

 僕は個人的には電子処方箋を発行できるようになって一番メリットがあるのが在宅医療機関だと思っています。夜間、深夜の往診や電話再診によって処方箋が発行されお薬が24時間届くようになれば素晴らしいことだと思います。とても期待しています。

 在宅医療を行っている医療機関としては早く導入してみたいと思っていますが電子カルテメーカーの方の開発が進んでいないというのが現状です。電子処方箋が電子カルテに導入されればすぐに薬局と模擬テストを行いたいと手ぐすねを引いて待っている状況です。これに関しては厚生労働省や医師会がもっと電子カルテメーカーへのアプローチが有っても良さそうですが、あまりそのような動きは無く、電子カルテメーカーも様子見という状況が続いています。

 2024年度の診療報酬改定や補助金などで誘導されるような事も漏れ伝わっています。今後の動向に注力していきたいと思います。


【執筆者のご紹介】
中村 哲生(なかむら てつお)
1965年生まれ
医療法人永生会 特別顧問
多くの医療機関の顧問を歴任
開業に関するコンサルは70ヶ所以上
在宅医療に関するDVD
著書「コップの中の医療村」
2017年APECに参加
年間100本ほどの講演を行っている。

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