帝国データバンクが4月17日に公表した医療機関の「休廃業・解散」動向調査(2023年度)によると、23年度(23年4月〜24 年3月)において確認された医療機関の休廃業・解散件数は、709件(前年度37・1%増)。これは、過去最多を更新する件数で、10年前と比較すると、2・3倍に増えている。
医療機関について業態別に見た場合、病院(19件)、診療所(580件)、歯科診療所(110件)で、やはり診療所が圧倒的多数を占めている。一方、倒産件数については、55件(病院3件、診療所28件、歯科診療所24件)であった。診療所と歯科診療所に関してはこちらも過去最多件数となった。医療機関が休廃業・解散および倒産に追い込まれることになった要因の大半は、経営者の高齢化や後継者の不在だ。日本医師会が行った「医業承継実態調査」(20年1月)によると、診療所の後継者は、「後継者候補がおり、承継の意思確認済みである」(21・6%)に対して、「現段階で後継者候補は存在しない」(50・8%)、「後継者候補はいるが、意思確認していない」(27・7%)となっており、診療所の半分以上は後継者候補が存在しない状況となっている。
帝国データバンクによると、診療所経営者のボリュームゾーンは65〜77 歳となっていて、こうした実情に鑑みると、今後、事業を断念する診療所はさらに増加していくと予想される。