財務省の財政制度等審議会は5月21日、今後の財政運営についての基本的な考え方をまとめた「我が国の財政運営の進むべき方向」(春の建議)を鈴木敏一財務相に提出した。
医療分野における今後の課題として、▼医療機関の経営状況の継続的な把握や医療統計の充実、▼生活習慣病や他の疾病の管理のあり方の検討、▼診療所と病院の医師の偏在是正──などを明記。このうち医師の偏在については「自由開業医制の下で生じている根深い問題であるが、今後の人口減少社会で国民のニーズに沿った質の高い医療を提供する観点から速やかに解決しなければならない」と指摘し、医師の地域間、診療科間、病院診療所間の偏在是正に向け、経済的インセンティブと規制的手法の双方を活用した強力な対策を講じる必要があるとしている。
具体的には、診療所不足地域と診療所過剰地域で異なる単価を設定し、報酬面から診療所過剰地域から不足地域への医療資源のシフトを促すべきと提言。当面の措置として、「診療所過剰地域での1点単価引き下げを先行させ、それによる公費の節減効果を活用し、医師不足地域への対策を別途強化すべき。診療科別、地域別の医師定員などの検討も必要」と指摘している。
このほか、「かかりつけ医機能の発揮」「地域医療構想の推進」についても言及。前者については、外来医療機能の転換・集約の推進、さらに、将来的には「かかりつけ医の登録制や認定制」なども検討していくべき──とした。