いよいよ包括的支援加算の手が入りました。在宅医療を行っている医療機関にとって
これが一番大きなマイナスなのでは無いでしょうか?
2018年の診療報酬改定において在宅時医学総合管理料や施設入居時医学総合管理料が100点下がりました。
その代わりに包括的支援加算(150点)という物が算定できるようになりました。100点下がって150点上がる
のですから勿論だれも反論など有るはずがありません。この点数の建付けが流石厚生労働省です。
介護度2以上、または認知症生活自立度2B以上というものが算定条件になっていましたがいつからでも介護度3以上、
日常生活自立度3以上に変更できるようになっています。そうです。在宅患者のこの点数は算定条件の変更によって
いつからでも間引きする事ができる建付けになっているのです。いつか間引きされるだろうと思っていましたが、
今回の診療報酬改定のこのタイミングで間引きされました。今後は改定のタイミングで介護度4以上のみに変更、
その次は介護度5の人だけに、そして包括的支援加算そのものがいつか無くなってしまうという点数です。
2040年まで在宅医療の対象患者は増加していきます。患者数の増加により医療費は自然増となるのですから
厚生労働省としては少しずつ点数を下げ、患者の単価を落とす事で在宅医療の仕組みを維持していきたいのです。
これが厚生労働省の言う在宅医療の推進という意味です。今後の診療報酬改定もより薄利多売となっていくでしょう。
安い点数で効率的に沢山の患者さんを診るという方向です。今回、私の所属する診療所でも年間この点数の
マイナス分で数百万円のマイナスが見込まれます。そのマイナス分を補うためには患者数を増やすしかありません。
薄利多売の世界に嫌でも入って行くしか生きる道がないという事です。
【執筆者のご紹介】
中村 哲生(なかむら てつお)
1965年生まれ
医療法人永生会 特別顧問
多くの医療機関の顧問を歴任
開業に関するコンサルは70ヶ所以上
在宅医療に関するDVD
著書「コップの中の医療村」
2017年APECに参加
年間100本ほどの講演を行っている。