医療行政最前線12/3サボテンを枯らす女

中村 哲生(医療法人永生会 特別顧問)

2024-12-03

 タイトルの「サボテンを枯らす女」というのはズボラな人への代名詞のようです。なぜズボラだという事なのでしょうか?サボテンは水やりを頻繁にしなくても育つ、育てるのが簡単、というイメージからそんな簡単な植物さえも枯らしてしまうという事なのでしょう。

 ただ実際にはサボテンを育てるのは意外と難しいのです。水をあげすぎても枯れてしまいます。何もしなければ枯れてしまいます。また水をあげるときは1週間に1回程度でその時には水をたっぷり与えます。栄養も必要ですし日当たりも必要です。サボテンは無理な環境で頑張ろうとはしません。適した環境が必要となります。

 さてこれを職場に置き換えた時は如何でしょうか?職場からのアプローチが無く放置された人は退職する傾向にあります。忙しすぎる職場で仕事を教える余裕が生まれない職場があります。新しく入った人から次々と辞めていくようです。特に看護師という職業ではこの傾向が高いです。

 私が面接する中で面接者からの質問に勉強会、研修会が行われているか、または参加ができる環境が有るのかという質問を受ける事が時々ありますが就職を希望する人たちはこの研修の仕組みの有無により就職するかしないかの判断をする方が少なからず有ります。

 社員教育を受けていない社員は会社の理念や仕事の目的を共有する事が出来ず指示を伺うだけの人材となりがちです。仕事へのモチベーションが上がらず帰属意識も低下します。仕事への目的が判らない状況が続くと精神的に不安定になります。

 社員教育を実施している医療機関では職員一人一人のスキルが上がり地域からの信頼を獲得していきます。先ほども書きましたが職員教育のできない医療機関や介護事業所は人手不足や予算不足が原因であることが多いです。教える事が出来ない事業所では次々と退職者が出て更なる人手不足に陥り人に教育する余裕も無くなりまた退職するといった負のスパイラルに突入していきます。職員を大切にしない単なる使い捨ての道具と考えているような医療機関は離職率も高くなり、常に人手不足という状況が続きます。

 人間はサボテンと違い環境が悪ければ自分で移動する事ができます。退職する事で環境を変える事ができるのです。人もサボテンも日光も栄養も水も必要です。なかなか難しことかもしれませんがサボテンを枯らすような職場にはしないで欲しいと思います。

それでは今年最後の謎かけです。
サボテンとかけまして
夫婦だけの旅行とときます
その心は  みずいらず

あれ水は必要ですけど~~~



【執筆者のご紹介】
中村 哲生(なかむら てつお)
1965年生まれ
医療法人永生会 特別顧問
多くの医療機関の顧問を歴任
開業に関するコンサルは70ヶ所以上
在宅医療に関するDVD
著書「コップの中の医療村」
2017年APECに参加
年間100本ほどの講演を行っている。

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