医療行政最前線1/7事務長は中間管理職

中村 哲生(医療法人永生会 特別顧問)

2025-01-07

 事務長は経営層と医師や看護師、事務員、その他とのコミュニケーションを計って各自の管理を行いながら自分の業務も追行しなければいけません。上と下の両方を見ながらバランスの良い管理をしなければいけません。下ばかり気にすると赤字になり経営を圧迫します。逆に経営層の意見が強すぎると大量の退職者が出て、職場環境が悪化する事もあります。この綱引きを見極めなければなりません。

 中心線より少し経営よりか中心線から少し従業員よりかで内容が変わって行きます。もちろんどちらかに偏り過ぎれば崩壊してしまいます。上層部の意向をくみ取りながら現場に理解をしてもらい、労働環境なども意識しながらコストも意識しなければいけません。裁量権も有るような無いような、一方責任だけは大きいと来ていますのでかかるストレスは大きいかもしれません。
 
 昨今の物価上昇による賃金の高騰という点、医療介護業界だけはおいてきぼりになっています。診療報酬、介護報酬の実質マイナス改定の中、他の業界へ転職する人も多く、退職後の人員補給も儘なりません。採用がうまくできない事で部下からの不満も大きく解決の糸口さえ見えない医療機関が多数あります。
 
 こんな状況になりますと現場のモチベーションはダダ下がりします。そのモチベーションを引き上げるのも事務長の仕事です。そして事務長の辛い所はマネジメントだけに専念という訳にもいかず自分の実務もこなさなければいけません。ただこれが辛いと言っている事務長さんはもしかすると仕事を抱えすぎる人なのかもしれません。人に任せられるようになれば自分の仕事は減るはずです。同時に仕事を振る、任せる事は部下への育成にもなり一石二鳥です。そう次の事務長を育てる事も間違いなく中間管理職としてのお仕事です。直接の部下は任される事でモチベーションも上がります。ただ仕事の任せ方は上手にしてくださいね。ここでコミュニケーションが無いまま丸投げにするとあなたの評価は一気に下がってしまいますよ。

 事務長をやっていると辛い事の中に部下のミスの責任を取らなければならないという点もあるようです。部下がミスをすれば管理者である事務長に責任が及びます。人は誰でもミスはするのですが、やはりこれもコミュのケーション不足が原因かもしれません。日ごろから信用している部下がミスをした場合は自分の管理責任だと思えるかもしれません。一方、日ごろから信用がない部下のミス、特に注意をしても改善の姿勢が見られないような部下のミスの責任は負いたくはないものです。いかに周囲の人に2重3重にチェックできる体制を作るかという事になります。ミスを早期発見する。ミスをカバーできるシステムを作って行くしか対応の方法はありません。このような部下はいずれ淘汰されるのでひたすら我慢が大切です。

 こういう状況にいる事務長さんの人間力はきっと爆発的に上昇しているはずです。自分を鍛えると思ってその状況を楽しめるような人が向いているのでしょうね。そうそう最後ですが板挟みになるのは上司と部下だけでなく患者やその家族、業者や老人ホームの施設長さんなど色々な場面で挟まれると思います。

あまり深刻に考えずに長い視野で考えましょうね


【執筆者のご紹介】
中村 哲生(なかむら てつお)
1965年生まれ
医療法人永生会 特別顧問
多くの医療機関の顧問を歴任
開業に関するコンサルは70ヶ所以上
在宅医療に関するDVD
著書「コップの中の医療村」
2017年APECに参加
年間100本ほどの講演を行っている。

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