日本医師会は、医療機関向けの「SNS等における誹謗中傷の相談窓口」を来年1月を目処に開設する。長島公之常任理事が11月20日に記者会見し、発表した。窓口の利用対象者は日医の会員と会員が開設・管理している医療機関の従事者。SNSなどによる誹謗中傷やペイシェントハラスメント(病院現場での患者や家族から職員に対する暴言や暴力、迷惑行為)についての相談を、電話やWEBフォームで受け付ける。
長島常任理事はSNSや口コミサイトで悪質な書き込み被害が増加している社会情勢に触れ、医療機関でも被害が続出していることを指摘した。今年6月の日医定例代議員会でSNSによる悪質な投稿に関する質問が出されたことを受けて、10月に誹謗中傷についてのアンケートをWEB上で実施したことを説明。アンケートでは4730件の回答が得られ、自身の医療機関に対する誹謗中傷等の書き込みが「あった」と回答した医療機関は3641件(77%)に上ったことを明らかにした。
悪質な書き込みへの対応として「サイトやSNSの運営元に削除を求めた」のは1069件あった。このほか「弁護士などの専門家に具体的な対応を依頼した」「書き込みに対して丁寧に返信した」などの対応を取っている医療機関もあったが、書き込みを削除できたのは20%の医療機関に過ぎず、削除することの難しさも浮き彫りとなった。書き込みされた場合の解決法を誰かに相談したいという切実な声も多数寄せられた。
長島常任理事は「こういったアンケート結果からも相談窓口の需要が高いことが分かった」として設置を決めたと説明した。