日本医療労働組合連合会(日本医労連)は11月27日、医療職・介護職の正職員の冬のボーナスに関する調査結果を公表した。21日時点までに寄せられた加盟200組合の回答を集計したところ、4割超にあたる83組合がボーナスの引き下げを提示されたことが分かった。このうちの2割超の19組合が平均10万円を超える大幅な減額を迫られている。背景には諸物価高騰などによる事業所の急速な経営悪化があるとみられる。
日本医労連によると、この冬のボーナスは組合平均で42万8164円。昨年の実績と比べ9万8884円減った。最大で平均26万円超もの引き下げとなる組合もある。これほどの大幅な減額はコロナ禍の2020年を上回る規模だという。
会見した佐々木悦子中央執行委員長は「賃上げどころか大幅な賃下げとなる現場がある」として、看護職・介護職の離職に拍車がかかることへの強い懸念を示した。その上で、慢性的な人手不足でサービスが低下している医療・介護現場が多くなっていることを挙げ、「このままでは更に悪化する」と人手不足のさらなる深刻化、医療崩壊を招きかねないと強く恐れた。その上で労働者の賃上げにつながる報酬増が必要性だと訴えた。
医療従事者の待遇改善を目的に新設されたベースアップ評価料によって月例賃金の賃上げが進んだとしても、一時金のボーナス支給額がこれほど大幅に引き下げられれば、年収で見た場合は実質的に賃下げになってしまうと、強く懸念する声も上がっている。