医療機関に入院した際の患者の食費について厚生労働省は12月25日の中央社会保険医療協議会(中医協)総会(会長:小塩隆士・一橋大学経済研究所教授)に、1食当たりの食費基準額を、現行の1食670円から20円引き上げて690円とすることを提案し、了承された。
食費基準額は1997年以降据え置かれていたが、2024年度の診療報酬改定で640円から30円引き上げたばかり。しかし、改定後も食材費の高騰が続いていることから、厚労省はさらなる引き上げが必要と判断した。引き上げについては、福岡資麿厚労相と加藤勝信財務相が25年度予算案の編成に向けた大臣折衝で合意していた。
食費基準額以外では、歯科診療所などでより専門的な業務を行う歯科衛生士・歯科技工士を確保し、効率的な歯科医療を提供するためとして、歯科技工士連携加算1(印象採得)を50点から60点に引き上げること、保険薬局(調剤薬局)では、長期収載品の選定療養化にともない患者への説明などに大きな負担が生じている点を踏まえ、特定薬剤管理指導加算3の「ロ」の点数を現在の5点から10点へ引き上げること──なども合意された。
食費基準額の引き上げについては、この日の中医協総会で、日本医師会など診療側の委員から「引き上げは医療の質の維持・向上のためになる」との発言があったが、健康保険組合連合会(健保連)など支払い側の委員からは、緊急対応するような課題が明らかになった場合の丁寧な議論を求める声も聞かれた。