高額療養費制度の見直しをめぐり、厚生労働省は、平均的な年収の区分で上限額を今より10%程度引き上げる方向で最終調整している。制度を見直した約10年前から、平均給与の伸び率が9・5%から12%になることなどを参考にした数字。厚労省は近く、所得区分の細分化と具体的な引き上げ額を決め、今年夏以降、段階的に実施する方針だ。
この制度は、大手術などで医療費の支払いが膨らんだ際、患者の負担が重くならないよう毎月の医療費の自己負担に上限額を設けているもの。限度額を超えた場合は、超えた分を後で払い戻してもらう仕組みだ。現在は平均的な年収区分の370万円から770万円は8万100円程度、1160万円以上は25万2600円程度などとなっている。
厚労省は、医療費の膨張を抑え、現役世代を中心とした保険料の負担を軽減させる必要があるとして、限度額の計算に使う基礎的な金額を引き上げたい考えだ。引き上げ幅は、▽最も所得が高い区分(年収約1160万円以上)で15%、▽2番目の区分(同約770万〜約1160万円)で12・5%、▽3番目の区分(同370万〜770万円)で10%──とする方向だ。
所得の低い2つの区分については引き上げ幅を緩和する。平均以下の区分(同約370万円以下)は5%、住民税非課税世帯は24年度の年金の上がり幅にあわせて2・7%とする方向で検討している。70歳以上で年収約370万円までの人が外来受診にかかる費用を一定額に抑える「外来特例」の自己負担限度額についても、見直すことにしている。