日本能率協会は2月4日、「病院経営課題の実態調査」の結果を公表した。それによると、回答した病院の約4割で外来・入院収入がコロナ禍前の水準に戻っておらず、コロナ禍前の水準を上回ったと回答した病院は3割程度にとどまった。
現在の経営課題について尋ねたところ「人件費の増加」と回答する病院が最多。加えて、光熱費や材料費・委託費・人材派遣手数料も軒並み値上がりしており、病院の厳しい経営環境が改めて浮き彫りになった。
調査は24年11月、全国の8141病院を対象にWEBアンケート形式で実施(有効回答数は223病院)。前年度の外来と入院収入の状況をみると、コロナ禍前の水準に戻らないと回答した病院の割合は、外来が43・5%、入院が42・2%で、ともに4割を超えた。これに対して、コロナ禍前の水準を上回ったと回答した病院は、外来が26・5%、入院が31・8%だった。
外来の収入が戻らない要因として上げられたのは「患者の受診控え」が、入院収入に関しては「地域人口の減少」がそれぞれ最も多かった。さらに、医師や職員不足が働き方改革の課題であると4割以上が回答。人手不足解消に向けて採用強化に乗り出し、人件費・人材派遣手数料の値上げにつながっていることもわかった。
また、〝DX化〟が重要であると回答した病院は8割以上を数えたが、積極的に取り組んでいると回答したところは2割以下にとどまった。DXの効果については、取り組んでいる病院の3割以下で「効果を実感できていない」と回答している。