医療行政最前線5/13号福祉医療機構(WAM) 無担保融資拡充
最長5年間、元金返済など必要なし
諸物価高騰で経営厳しい施設向け

株式会社日本医療企画

2025-05-13

 福祉医療機構(WAM)は、物価高騰の影響により経営が悪化している医療機関等に対し、無利子・無担保を含む優遇条件を適用した「緊急融資制度」を拡充した。2024年12月から始まった長期運転資金制度をベースに、25年度は支援対象と条件を大きく広げ、引き続き厳しい経営状況にある病院や介護施設を下支えする方針である。

 融資対象となる施設・事業は、①前年同月と比べて費用が増加し、経常赤字に陥った、②ベースアップ評価料等の処遇改善加算を届け出ており、経営改善計画書を提出済み、③さらに、病床数適正化支援事業の活用意向や地域医療構想調整会議で合意の上、再編・減床を行っている――という三段階の要件が示されている。

 据置期間と無利子期間もこの三類型に応じて設定されており、①は据置期間1年半、②は2年、③は最大5年の据置期間とされ、②③についてはそれぞれ当初2年間・5年間の無利子貸付が認められる。いずれも貸付利率は基本的に年1.5%だが、直近の医業収益の2カ月分までを上限とし、その範囲内での優遇措置が適用される。

 貸付限度額は病院が7.2億円、介護老人保健施設・介護医療院が1億円、その他施設が4000万円。また、費用増加分の24倍という別枠基準もある。無担保の貸付については①が500万円、②③が500万円または医業収益の2カ月分の高い方までとされる。

 なお、制度の運用に関しては4月23日に福祉医療機構がQ&Aを公表しており、ベースアップ評価料の届け出の有無によって据置期間・無利子期間に差が出る仕組みであることを明確化している。届け出がない場合、据置期間は1年半にとどまり、無利子措置も適用されない。

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