厚生労働省は4月3日の社会保障審議会医療保険部会で、スマートフォンに搭載されたマイナ保険証「スマホ保険証」の使用について、今年6月下旬から7月にかけて、約10の医療機関などで先行的に試用する実証事業を行うことを明らかにした。窓口での動作確認や資格確認時に生じる可能性のあるエラー等について検証をしたのち、導入を希望する医療機関等から順次、スマホ保険証の利用を開始する方針だ。
実証では、スマホ保険証を用いた場合の資格確認が問題なく実行されるかが検証の大きな目的だ。その際、患者向けにはスマホをかざす場所や画面操作方法に分かりづらい点がないか、マイナンバーカードと同じように利用できるかなどが、医療機関等向けには、導入のための機器設定や運用に分かりづらい点がないか、誤操作等に起因するエラーにより窓口が混乱することがないかなどが、それぞれ中心となる。
実証が順調に行われ、大きな課題がないとあれば、採用を希望する施設は早ければ8月下旬からにも利用可能となる見込みだ。ただ厚労省はスマホ保険証について「全医療機関に導入を義務付けるものではない」とも説明しており、施設によって導入するか判断が分かれる可能性がある。そのため厚労省は国民向けに、初めて受診する医療機関にはマイナンバーカードも持参するよう呼びかける方針だ。
スマホ保険証に対応するため新たな機器を導入するには一定のコストもかかりことから、委員からは国によるしっかりとした補助を求める声が出た。