医師の働き方改革が昨春に本格実施されて以降、大学病院勤務医の診療時間は増加した一方、研究時間が減少していることが4月25日、全国医学部長病院長会議(AJMC)の調査で明らかになった。研究に充てる時間が週5時間以内にとどまる医師の比率増加が顕著だ。大学病院の経営が厳しさを増す中、収入を確保するために診療時間が増加、その結果として研究時間が圧迫される構図が浮き彫りになっていると、同会議は見ている。
「医師の働き方改革に関する調査」は大学病院向けと大学病院勤務の医師個人向けが実施され、病院向けは1月7日から2月7日を調査期間として会員81大学を対象に実施、全大学から回答を得た。医師個人向けは11月16日から2月28日に2962人を対象に実施され、2954人から有効回答があった。
調査結果によると、週平均の総労働時間が60時間以上の医師の割合は22・4%で、前回調査の24・7から増加している。診療時間も「週平均31時間以上」の医師は52・3%から57・1%に増加した。一方、医師としての研究に充てる時間に関しては「週5時間以内」とする回答が60・0%で前回調査の55.6%より増えた。
同会議は「この構図は大学病院の経営状況の悪化によるものと思われる」と説明。「大学病院が本来持っている教育・研究の質を落とさないためにも国からの財政支援が必要だ」と経営基盤の強化を求める声も出ている。