十分な睡眠が取れずに不眠の悩みや症状を抱える人が増えているとして、専門家らで作る日本睡眠学会(理事長・内村直尚久留米大学長)は4月30日、医療機関で標榜可能な診療科名に新たに「睡眠障害」を加えるよう厚生労働省に要望書を提出した。「早めに受診することで心身の疾患の予防もできる」として、学会は睡眠で悩む人がどこの医療機関を受診すればいいのかはっきり示すべきだとしている。
厚生労働省の調査では5人に1人が睡眠による十分な休息を取れていないと感じている。またOECD(経済協力開発機構)が2021年に公表した調査結果によると日本人の平均睡眠時間はで7時間20分余りと加盟33か国中、最も短くなっている。睡眠不足は慢性化によって高血圧や糖尿病、うつ病になるリスクが高まるといわれ言われ、早い段階で適切な診療を受けることが望ましいとされている。
医療機関が看板や広告で掲げることのできる診療科名は「標榜診療科」と呼ばれ、医療法で定められている。現状では診療科の名前として「睡眠障害」を掲げることができず、どこに相談すれば良いか分かりにくいという課題が指摘されていた。
そのため日本睡眠学会は、診療科の名前に新たに「睡眠障害」を加えるよう国に求めていくことになり、内村理事長が厚労省を訪れ、要望書を提出した。学会は「睡眠障害内科」や「睡眠障害精神科」などほかの診療科名と組み合わせて掲げることを想定しており、厚労省は今後、検討を進めることにしている。