財政制度等審議会財政制度分科会は5月27日、2026年度予算編成に向けた提言として「激動の世界を見据えたあるべき財政運営(春の建議)」を取りまとめた。政府が6月中に策定予定の「経済財政運営と改革の基本方針(骨太の方針2025)」に反映される見込み。
社会保障関係費については、「高齢化による自然増分の範囲内に支出を抑える」との従来方針を踏襲し、「予算編成においてもこの方針に基づいて対応してきた」と明言。25年度から27年度までの中期3年間においても、物価や経済情勢に配慮しつつ、歳出改革努力を継続する方針が確認された。これにより、社会保障費の伸び抑制は既定路線として今後も堅持される見通しだ。
医療費に関しては、制度改革の積み上げが引き続き必要であるとの認識が示された。建議では、「医療機関の総収入すなわち医療費の総額は、経済成長を上回るペースで増加し続けている」と指摘。現在、病院団体などが診療報酬の大幅な引き上げを求めているものの、「診療報酬の引き上げは、現役世代の保険料率上昇を招いてきた事実を踏まえる必要がある」として慎重な姿勢を崩していない。
また、医療費増加における人口要因以外の構成比が大きいことを挙げ、物価上昇等に伴うコストの増加分を給付に自動反映するような“スライド的措置”には慎重であるべきとの立場を明示。サービス提供主体におけるコスト抑制努力の余地を指摘しつつ、「給付のあり方を不断に見直し、保険料負担の過重化を避けることが重要」と強調した。
今回の建議で特に注目されるのが、一般診療所に対する改革提起である。直近の外来患者数は増加傾向にあり、1996年以来の高水準となっていることを背景に、「診療所を含めた外来医療機能の転換・集約を推進すべき」と提言した。
さらに、診療報酬体系の見直しを通じて「病院勤務医から開業医へのシフトを助長しないよう配慮すべき」と明記。診療所経営の実態を踏まえた制度設計の必要性を示したほか、生活習慣病をはじめとする疾病管理、リフィル処方の活用促進、医薬分業を踏まえた処方料・処方箋料の再評価、地域別単価の導入を通じた外来診療の偏在是正といった個別施策にも言及している。
背景には、病院の病床削減や機能分化が進む中で、外来医療の多くを担う診療所の役割がより重要になるとの認識がある。一方で、こうした改革の矛先が、強い発信力を持つ日本医師会の基盤領域である「診療所」に向けられていることに対し、現場からの反発や制度実装の停滞も懸念される。
一口解説
今回の建議は、制度の持続可能性と現役世代の負担抑制を主眼に置いた内容であり、診療報酬改定や骨太方針の議論に大きな影響を及ぼす。医療提供体制の全体最適化をどのように進めるか、今後の政策動向を注視する必要がある。