色々な場面でこの3者は同じ方向にベクトルが向かう事も対立をする事もあります。この3者の間に入って調整するのが事務長の仕事かもしれません。もちろん事務長も従業員であり、経営者ではありません。が院内にこの両方の橋渡しをする人員は必要です。この調整がうまくできないと授業員の離職率は上がります。かといって従業員の要求をすべて聞いていては医療法人が倒産してしまいます。
経営者の考え方と従業員の考え方とバランスよくちょうど中間地点というのが理想かもしれませんが、中間地点よりも少し営利に偏っていたり、中間地点より若干従業員に優しい医療機関であったり、それぞれの医療機関により違いは有りますがどちらかに偏っていたとしても許容範囲という物があります。許される振り子の範囲内を超えてしまいますと、離職率があがり悪い噂が増え、地域から評価されない医療機関となってしまいます。
振り子は許容範囲内に上手に納め、患者や、職員の満足度を上げなおかつ健全経営を保つという事が事務長の手腕という事になります。コストカットが過ぎれば患者は離反し売り上げが減少します。診療報酬は全国一律同じ条件です。その中で利益率の良いところとそうで無いところが出現します。
前述で同じ方向というのはもちろん患者さんを治すというベクトルです。同じ治すというカテゴリーで有ってもその方法や手段は医師により異なります。その方法、手段が医師、看護師、患者ともに一致した時には素晴らしい医療になりますが、選択の過程で説明不足で有ったり、納得しなかった時には対立の方向に向かいます。
売上だけではなく治療方針についても医師によって変わります。積極的に治す医療、現状維持を目指す医療、終末期の医療、痛みを緩和する医療、それぞれ治療方針は違います。患者の希望も人それぞれ、医療従事者で医師、看護師、MSWなど患者への想いは同じでも患者を診る視点は違います。同じ「みる」でも「診る」「看る」「見る」「視る」と違っています。その立場によってその患者または家族の何を重視するのかは異なります。在宅医療では医療機関の中だけではなく外部とも協力しあいます。外部のケアマネージャー、介護士、薬剤師、PT、OT、ST、高齢者施設のスタッフ医療以外にも経済的な視点、介護力など看護必要度、処置の内容など、それぞれ異なった視点で患者と接しています。
事務長は組織の方針や目標を現場に浸透させ実行を支援する役割があります。経営者と従業員との懸け橋として複雑な調整を求められるのが事務長としてのスキルと言えます。事務長の役割は現場の人間のパフォーマンスとモチベ―ションを管理する仕事があります。その為には各自へ適切なフィードバックを行う必要があります。今の若い方という書き方は語弊が生じるかもしれませんが、最近の方は特に仕事をする上での納得感が大事な要素です。目標や能力に応じた指導や教育も必要です。こういった育成を行う事が組織全体のスキルアップにつながります。現場では様々の問題も発生いたします。状況を冷静に分析して適切な解決が望まれます。
と書いてみましたがなかなか実際の現場では難しい事も多くストレスを抱えている事務長も多いかと思います。最も必要な事はコミュニケーション能力でしょう。日々のコミュニケーションを継続的に行っていきましょう。
それでは本日の謎かけです
コミュニケーションとかけまして
お寿司屋さんのネタとときます
その心は・・・・会話(貝は)大事です。
それではまた次回 宜しくお願い致します。

【執筆者のご紹介】
中村 哲生(なかむら てつお)
1965年生まれ
医療法人永生会 特別顧問
多くの医療機関の顧問を歴任
開業に関するコンサルは70ヶ所以上
在宅医療に関するDVD
著書「コップの中の医療村」
2017年APECに参加
年間100本ほどの講演を行っている。