全国の国立大学病院の昨年度の決算が、過去最大となる総額285億円の赤字に達したことが7月9日、全国42大学44付属病院の病院長でつくる「国立大学病院長会議」(会長・大鳥精司千葉大学医学部付属病院長)の発表で明らかになった。
前年度、国立大の法人化以降初めて赤字に転落し、約60億円の赤字を記録。今回の決算ではさらなる赤字増となった。赤字を抱える病院は全体の7割近くに達しており、深刻な経営難により病院としての事業の存続を危ぶむ声も出ている。
同会議が公表した速報値によると、前年度に比べて収益は547億円増加となった。一方で、医薬品や材料費などの診療経費や人件費が計772億円増えた。この費用上昇に診療報酬などの収入が追いつかずに赤字幅が増大。赤字病院は29病院を数える。2025年度にはさらに悪化する恐れがある。
赤字の増大によって大学病院の医療現場では、「新たな医療機器を購入したり老朽化した設備を更新したりすることが難しくなった」という声が多く聞かれるようになった。支援がなければ間違いなく経営破綻してしまうとして、26年度診療報酬改定での点数引き上げや補正予算等での対応など、国による支援を求める声も出ている。
また、同会議内には、大学病院が担ってきた地域の高度医療の地盤低下に加え、「大学病院が有する研究や教育力といった、医師を育てる医育機関としての使命が低下するのではないか」との懸念も根強い。