日本慢性期医療協会(日慢協)は9月11日に定例記者会見を開き、2026年度の診療報酬改定で物価スライド制を導入するよう制度改革を訴えた。物価高、人件費高が進行するインフレ環境下では、診療報酬改定が±ゼロであっても実質的にはマイナスとなるとして、橋本康子会長は「診療報酬と経済実態をマッチさせる必要がある」と指摘し、経済合理性のある制度設計を求めた。
さらに、医療は全国一律の公定価格のため物価高や人件費増を転嫁できず、物価高による消費税負担も増加する三重苦に直面していると強調。改定率だけでなく物価指数も加味しないと減収に陥るとして、経済指標に連動した報酬調整が必要な環境にあると指摘した。
同時に、「医療費はコストではなく投資」として、重点投資すべき良質な慢性期医療としてICT・DXの活用、介護職の処遇格差の是正、メディカルケアプランナーの必要性、リハビリテーション介護士の養成などを挙げた。
また、日本在宅療養支援病院連絡協議会(在病協)は17日の会見で、診療報酬改定に係る要望書を厚生労働省に提出したことを明らかにした。①在宅療養支援病院の施設基準や地域包括医療病棟の見直し、②仕事と育児の両立支援制度活用時の医療機関の人員基準見直し、③診療報酬の請求が一定以上の高点数の訪問看護ステーションへの指導・監督──などを求めている。鈴木邦彦会長は「医療従事者等の声を反映し、持続可能な医療提供体制をめざす」と説明した。