2026年2月衆議院選挙が行われました。選挙の度に「あ~この人梯子を外されちゃたなー」なんてテレビで見ながら思う事もしばしばです。選挙において梯子を外されるとは公認を貰えない、比例の順位が低い、支援や組織票が来ない、資金的なバックアップが無いとか、また今回の選挙直前に中道改革連合なる新たな政党ができたり、また分裂により、さらに減税日本・ゆうこく連合という新政党も生まれ、その煽りで梯子を外された人は沢山いたのでは無いでしょうか?政治家だけでなく有権者の方も裏切られたという思いもあり特に立憲民主党を応援していた人にとっては、安全保障やエネルギー政策面で完全に裏切られた、正に梯子を外されたという状況だと思います。
ここで改めて梯子を外されたとは仲間に裏切られて孤立するという意味です。梯子ですからおだてられて高い地位についたものの仲間に降りるための梯子を抜き取られて1人そこから降りられなくなる状況を表した意味です。同じような意味に「飼い犬に手を噛まれる」「煮え湯を飲まされる」の言葉もあります。
さて梯子をはずす人はどういう人なのでしょうまずは損得で動く人です。自分の利益が最優先の人は人情とかはありません。トランプ大統領をみていると良く判るかと思いますが自分の損得で平気で梯子を外します。自分の利益にならなければ簡単に裏切ります。契約そのものが成り立たない状況です。権力者にはこのタイプ多いです。
次に責任逃れをしたい人です。自分が責任を負わないように逃げる人です。もしかするとこのタイプは梯子を外すという意味からすると逆かもしれませんが、責任を総て部下に押し付けて尻尾切りをする人も居ます。こんな上司の下で仕事をする部下の方は可哀そうですね。いずれにしましても自分さえ良ければいいという自己中心的な考え方をする人は平気で梯子を外すのです。
さてここまで全く医療とは関係の無い内容でしたが、医療の世界で最も梯子を外されるのは2年に1度の診療報酬改定です。これまでも医療における様々な場面で梯子を外されてきました。一定期間誘導する為に診療報酬を上げます。そしてある程度市場が充実してくると診療報酬は一気に下がります。今まさに在宅医療は転換期かもしれません。これまで30年近く診療報酬を上げてきました。その誘導により在宅医療への参入は大幅に増加致しました。おそらく社会インフラとして既に充実したのでしょう。特にここまで在宅医療をけん引してきた、大規模在宅医療の医療機関は梯子を外され始めました。大規模在宅医療機関が生まれた背景には24時間365日という体制を1人医師での対応では不可能であることで生まれてきました。
①夜間の体制を強化する為には人海戦術しか無いのです。また、②少数在宅医療機関においては夜間を外注で賄う事で24時間365日の体制を補っています。この①②両方に対して規制がかかりました。これまで一人きりで赤ひげ先生のように24時間365日体制を行ってきた医師の中には過労死をした人もいます。このような状況を見て来た人たちは組織化に進みました。また1人体制の所では夜間の往診を外注する事で負担を軽減して来ました。
今、組織化をした在宅医療機関は月間の訪問診療の回数が700回以上になっていますが、この回数を超えると、①施設と居宅の割合で居宅が30%以上になる事②重傷者(介護度3以上と難病の患者の数が50%以上③年間の看取り数が20人以上などの条件があります。この中でも②の重傷者割合50%以上というのはとても厳しい条件です。重傷者の方は入院や死亡となるケースが多く人数減少が激しいです。また介護認定者の介護度3以上の割合はわずか27%です。介護度2以下の人数が63%です。この27%の介護認定者を5割以上に保つというのはかなり厳しい条件となっています。そしてこれら条件を満たせない医療機関は管理料の40%が減算となってしまします。当然ですが40%の減算になれば、その医療機関は倒産してしまいます。まさに今、在宅医療機関にとっては梯子を外された状況です。
今年も診療報酬改定の年となりました。まずは慌てず、焦らず、自分にできる事から始めましょう。梯子を外されたとパニックになってはいけません。冷静に自分の診療所は今どんな状況で何をしなければいけないのか1つづつ確実に対応していきましょう。この時期は情報が大切です。周囲の医療機関など皆さんで情報を共有して対応策を考える事が大事です。
それでは今月もなぞかけで終わります。
ハシゴを外されたとかけまして
SNSの生ライブとときます
その心は・・・・背信行為(配信行為)です。
そして梯子をはずされちゃいますと不安が一杯ですね。
不安とかけまして
巣箱から顔を出す鳥とときます
その心は
取り除く(鳥 覗く)
次回もまた宜しくお願い致します。

【執筆者のご紹介】
中村 哲生(なかむら てつお)
1965年生まれ
医療法人永生会 特別顧問
多くの医療機関の顧問を歴任
開業に関するコンサルは70ヶ所以上
在宅医療に関するDVD
著書「コップの中の医療村」
2017年APECに参加
年間100本ほどの講演を行っている