医療行政最前線8/4号2026年診療報酬改定について

中村 哲生(医療法人永生会 特別顧問)

2026-08-04

 令和6年度、8年度の2回の改定は在宅医療へのハードルをとても高くしました。減算というやった行為の後に算定条件を満たせなければペナルティーをかせられるという方式が定着してしまいました。かなり色々な算定条件が複雑になり、困惑している医療機関が多数あります。この減算項目について纏めてみます。

・「令和6年度改定」(2024年度)診療報酬改定における同一建物訪問診療の医療提供体制への影響と対策について
 3カ月の訪問診療数2100回(700回/月)を超えた医療機関は以下の条件の満たさない場合は管理料の4割が減算となる。
 算定条件
①看取り    20件  
②居宅の割合  3割以上  
③重症者割合  5割以上  
④直近1年間に5つ以上の医療機関より文書による紹介による訪問実績がる事。
上記の4点の条件を満たさなければ4割の減算となります。

・「令和8年度改定」(2026年度)
①24時間体制に関わる要件の整理
 連続する24時間の往診体制を月に4回以上確保すること
 ※医師の負担が大きくなった。
②夜間往診する医師は常時1人以下であること
 ※1名だけですと複数患者から同時に往診依頼が来ると往診に行く事ができない。
  夜間は2重3重に往診体制を確保する医療機関が評価されるべきではないか。
③夜間代行を行う場合前日までに当該医師の面接を行い(zoom不可)保険医登録などの申請が終わっている事。
④夜間対応する医師、及び看護師を事前に患者へ文章で通知しなければならない。
 上記の内容がクリアしない場合は施設基準の機能強化型在宅療養支援診療所はその他診療所に変更となる。機能強化型からその他診療 
 所となると患者単価が約2万円減少に転じる
⑤重傷者の割合が2割以内の在宅療養支援診療所は月2回の在診管及び施設総管が2回以上訪問していても月1回の管理料しか算定でき
 なくなる。この場合管理料は50%の減算となる。

・機能強化型在宅療養支援診療所の施設基準
①24時間の電話連絡の体制 
②24時間の往診体制 
③24時間の訪問看護との連携体制 
④緊急時の入院体制 
⑤在宅医師の常勤医3名以上 
⑥緊急往診10回以上 
⑦看取りの件数4人以上 
⑧データ提出加算の届け出(700回/月の医療機関)
上記診療所は下記の点数になります。(参考)


・在宅緩和ケア充実診療所・病院加算を廃止→在宅医療充実体制加算
 在宅医療充実体制加算の算定要件
①常勤換算医師3名以上
②機能強化型在宅診療所である事(その他診療所になってしまうと算定不可)
③緊急往診回数30回以上
④看取りの実績30件以上
⑤オピオイド麻薬使用件数10件以上/年
⑥重傷者割合2割以上
⑦医師1人当たりの受持ち患者数100人以内
 ※地方で1名で頑張っている医師、他に在宅医療をしている診療所はやむなく100人以上診る所もある)
⑧医師等の教育実績
 ※看取りや緊急往診の数は足りているが、研修受入れの依頼の無い
  医療機関は算定ができなくなる。
⑨在宅データ提出加算の届出

これまで在宅緩和ケア充実診療所・病院加算を算定して来た医療機関は上記算定
条件を満たさない場合400点→0点となります。満たす医療機関は400点→800点
を算定できます。
※2026年6月までに年間看取り数20件以上を目指していた医療機関は突然30件に変更となり6月末までに10件以上の看取りを増やす事ができず算定ができなくなる医療機関が多数あります。 
これにより20件以上もの看取りを行ったきて医療機関は大幅な減収となります。

 2024年診療報酬改定により3カ月で2100回以上問診療を行う医療機関は施設割合、重傷者割合によりの在医総管、施設総管が4割減算となり、さらに2026年診療報酬改定の重傷者割合により在医総管、施設総管は4割減算後に月1回の管理料のみ算定という医療機関はそこから5割減算となります。

 機能強化型診療所がその他診療所となりますと、管理料が約2万円減収となるだけではなく、在宅医療充実体制加算の算定もできなくなり、患者単価4000円の減収にもなります。

 「4割減算」(重傷者割合5割以内のところ)→管理料さらに半分(重傷者割合2割以内のところ)→2万円減収(夜間往診体制が整わない診療所)→患者単価4000円減少(在宅医療充実体制加算の算定ができないところ)

このすべてに当てはまり4つのペナルティー全てが適用になる医療機関もあります。

 今回の在宅医療の改定は機能強化型在宅療養支援診療所を維持するためのハードルがとても高くなりました。すべての条件を満たす事ができない診療所は機能強化型から外れます。とりわけ重症度割合、居宅の割合、看取り数を維持することが厳しくなりました。1~2名医師の在宅診療所ではこのハードルが算定条件と課せられ無いように訪問診療回数700回以内にとどめ新規患者の受け入れを制限する医療機関もあります。

 また医師1人当たりの受持ち患者数100名以内となり、医師不足により医師を獲得できない地域での在宅医療機関も在ります。連続する24時間の勤務月4回以上というのも医師の働き方改革とは逆の方向にあります。夜間の派遣による医師に対して対面での面接(zoom面接不可)というのも時代と逆行しています。
 
 患者全員に医師、看護師の勤務表のような文書による通知はシステムの変更や事務負担が大幅に増加しました。6月からの診療報酬改定に向け各医療機関は現在その対応に追われています。今回の改定により在宅医療からの撤退、または新規参入の減少という現象が起きない事を期待致します。

それでは今月も謎かけで〆たいと思います。

診療報酬改定とかけまして
おっとこの一輪挿し素晴らしいね~ とときます
その心は
過敏【花瓶】に反応してしまう・・・

では今後も診療報酬の行方に注視していきたいと思います。


【執筆者のご紹介】
中村 哲生(なかむら てつお)
1965年生まれ
医療法人永生会 特別顧問
多くの医療機関の顧問を歴任
開業に関するコンサルは70ヶ所以上
在宅医療に関するDVD
著書「コップの中の医療村」
2017年APECに参加
年間100本ほどの講演を行っている

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