【第2回】在宅医療に携わる医師に聞いてみた2歳の息子が「パパ、今日オンコール?」

Dr.渡辺 英靖(横浜まちだクリニック 院長)

2016-04-27



在宅医療との出会いは週1回のアルバイトから


開業前は昭和大学のリハビリテーション科に所属していました。
医師免許取得して2年目、医局の先輩からの紹介されたバイトが当時は珍しい在宅医療のクリニック。

そこで初めて在宅医療というものに触れました。分からないことはバイト先の先輩に相談してました。
週1回のアルバイトでしたが、その経験の蓄積が今に活きています。

2年目の時からずっと在宅医療のアルバイトに携わって13年、今のクリニックを開業しました。
同じリハビリ科で在宅療養支援診療所を開業された先輩がいらっしゃって、特に不安はなかったです。

昭和大学のリハビリテーション科は整形外科だけでなく内科も診ます。リハビリ科は実は全人的医療です。
皮膚科、泌尿器科も診たりしてましたから、色々な疾患を経験できました。

バイトの経験とリハビリテーション科の経験が在宅医療の世界に活かせたんです。
特に先入観も持たず、割とスムーズに入っていけました。


在宅医療ジレンマの症状には「マメさ」を処方すべし


患者さんのことでは今も悩みます。ウチのクリニックは機能強化型の在宅療養支援診療所で、
4つのクリニックと連携していて毎月1回はカンファレンスで集まっています。
今はLINEでグループを作って、聞きたいことがあればすぐに相談したりできるので便利ですね。

在宅医療では安定している患者さんをより病気にさせずに「予防する」こともすごく重要。
入院になりそうな方でもご自宅で療養できるように、肺炎になりそうな方を肺炎にならないようにする。

ただ、これを見抜くには経験が必要。病院と違って診断機器はほとんどありませんし、
診察の所見とバイタルサイン、血液検査のデータくらいしか情報はありません。 

「なんとなくイヤな気がするな」という第六感はこれまでの経験で培われてきたのだと思います。
そういう意味では、これから在宅医療に携わる方は心配性な人が向いていると思います。

在宅医療で成功してる先生はそうやってマメに対応されてますし、フットワークもやっぱり軽い。
反対に、自信満々で不安にならない先生は在宅医療では上手くいかないことが多いと思います。
患者さんはドクターにつくんですかね、僕が診るということで往診をお願いしてくれる患者さんは
嬉しいことにいるんです。


在宅医療の不思議な世界


病院ではよくならなくて、もうお看取りかもしれないという患者さん。
終末期で病院では施しようのない匙を投げた患者さん。

ところが、自宅に帰ってくると、ご飯を食べられるようになったり、途端に元気になる。
僕は「在宅マジック」と呼んでいます。これには本当に驚きました。

そういうお爺ちゃん・お婆ちゃんを何人も見てきました。これだから在宅医療は面白い、やめられない。
この面白さは実際に体験した人じゃないと伝わらないかもしれませんが…。

24時間365日の対応が求められることもあるし、広い範囲の診療に対応しなければいけないのも確か。
でも、ドクターが増えればワークシェアできるし、診療のことも経験を積めば何とかなってきた。

だから、在宅医療のことがよくわからなくても、食わず嫌いせずに飛び込んでみることをお勧めします。
実際に経験してみたら、楽しくてやりがいのある在宅医療の虜になるはずです。


パパは「在宅マジック」に魅了されてしまった


最近ではようやく休みが取れるようになって釣りと野球の観戦を。熱狂的なカープファンなんです。
あと、お酒が好きですね。嗜む程度ですが…。

これまではもう本当に忙しくて、自宅いた子供とはほとんど会えず、週末も出かけられませんでした。
そのうち、まだ喋りがおぼつかない2歳の息子が無邪気に「パパ、オンコール」と言い始めて(笑)。

嫁さんが面倒みられないときは息子を連れて往診に出ることもありましたね。
患者さんの家族が診察の間、息子を見ててくれたりして。そういう家族付き合いもありがたいことです。

こういうことは在宅医療ならではの醍醐味だと思います。病院ではありえないことです。



渡辺 英靖先生 プロフィール


○略歴
1974年 広島県豊田郡大崎上島町で誕生
1999年 川崎医科大学を卒業、同年、昭和大学病院リハビリテーション科に入局
その後、東京共済病院整形外科、昭和大学藤が丘リハビリテーション病院に勤務、
2011年8月に横浜市青葉区に横浜まちだクリニックを開業

○資格
日本リハビリテーション医学会専門医
身体障害者福祉法第15条指定医
義肢装具等適合判定医
日本障害者スポーツ協会公認障害者スポーツ医 など

横浜まちだクリニック(横浜市青葉区)
http://yokohama-machida.com/


(聞き手:プレドク事務局 齊藤)

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