在宅医療を始めた先生から言われた言葉です。
「中村さん」
「今までずっと15年以上も病院の建物の中ばかりで、平日の昼間にドライブ気分で運転することなんか無かったです。」
「在宅医療のアルバイトに来るようになって、毎週、平日にドライブをしているような気分になれます。」
某先生は、海沿いの国道を走りながら、患者さんのところに向かうのが楽しみだそうです。
午前中、最後の患者さんを診てクリニックに戻る途中に、洒落たレストランがあります。
この先生は、11時45分に午前中の患者さんを見終わると、
同行した運転手さんとそのレストランでお食事をするのが楽しみなのだそうです。
おしゃれなレストランですから、週末は行列ができてなかなか入れないお店です。
平日ともなると、お店には並ばずに入れます。
それでも12時を過ぎると混み始めますので、11時45分にはお店に入るそうです。
先生はレストランから見える素晴らしい景色を見ながら、運転手さんにポツリと呟きました。
「僕ら以外は全員カップルですね・・・」
そんなご愛嬌もあります。
在宅医療は、患者さんの住所をカーナビに入れて向かいます。
在宅医療をしなければ一生通ることの無いような裏道にも入っていきます。
市内のどんな道にも詳しくなります。
「中村さん、僕は将来いつでもタクシー運転手になれますよ。」
ありとあらゆる道を通ります。
これまでは気づかなかった発見があります。
「小さいけど美味しそうなレストラン」
「わ~ こんな所でヤギ飼っているお家があるよ」
「え~ ここって旧○○邸跡 今まで知らなかった歴史上のおうちが有った」
「あれ、こんなところに駄菓子屋があったんだ」
「ここってあの有名人のお家でしょ~」
「このラーメン屋すごい行列ができているね」
毎回、新たな発見があります。
地域には、隠れた名店が沢山あるのです。
訪問した先の患者さんのご家族が、地域の名店を教えてくれます。
自宅に帰ってから、教えてもらったお店に奥さんと行く先生もいます。
新たなお店をみつけると、そのお店の近くの患者さんの訪問時間が午前の診察の一番最後になるように、
上手いこと調整するようになります。
在宅医療だからこそ出来るのです。
ある時、先生と看護師さんがクリニックに戻ると、大量の野菜を持って帰ってきました。
患者さんのお宅で採れた野菜だそうです。
クリニックの中はまるで八百屋さんです。
みんなで分けて持って帰りました。
在宅医療ではこんな小さな楽しみが待っているのです。
中村 哲生(なかむら てつお)
1965年生まれ
医療法人永生会 特別顧問
多くの医療機関の顧問を歴任
開業に関するコンサルは70ヶ所以上
在宅医療に関するDVD
著書「コップの中の医療村」
2017年APECに参加
年間100本ほどの講演を行っている。