在宅医療最前線3/28号美味しい話には裏がある

中村 哲生

2018-03-28

 国が診療報酬を決め、その中で医師のお給料が算出されます。
 収入より高いお給料の支払いはできません。

 医師に限らず、転職をしようと考えるときは、
 「お給料の金額など少しでも条件が良いところにしたい」
 そう思うのは当たり前でしょう。

 診療所や病院で医師のお給料というのは、実は、対して差がないのです。

 「A診療所ではB診療所よりお給料が200万円も高い」とします。

 A診療所は、お給料が高いかわりに、在宅医療において自分で運転して同行看護師もなく、1日の訪問件数は20件以上、クリニックの退室時間は早くて19時過ぎ。

 B診療所は、お給料が安いかわりに、運転手付き、看護師付き、1日の訪問件数は14~15件、18時には帰ることができます。

 A診療所の年俸は2,000万円
 B診療所の年俸は1,800万円
 どちらも最高税率です。

 この二人の手取りの差は、いくらでしょう。
 200万円の差額ですが、実際には、200万円の半分以上は税金です。仮に、100万円を12か月で割りますと、月額の手取りの差は8万円です。22日稼働ですと、1日たったの3,600円。

 この差で看護師付き、運転手付き、1日につき1時間早く帰れるとなると、むしろBの方が身体は相当楽です。医師の時給を1万円で換算した場合、どちらが得なのでしょう。

 年収は200万円高く、オンコールは交代制で、看護師も運転手も欲しい、残業や休日出勤はしない。夜間の往診はしない。

 そんな理想の在宅医療の診療所や病院は、ありません。
 国で定められた点数の中で経営をしている限り、何かを上げれば、何かが下がります。

 クリニックの募集金額には、実は、あまり差が無いのです。

 先生方収入=全部自分の稼ぎではないのです。

 医師が1日で20万円稼ぐとします。10万円は医師のお給料ですが、残り10万円を経営者がピンハネしていると思うようです。
 残りの10万円で看護師や事務員のお給料、事務所の家賃、医療材料の仕入れ、各種検査などの外注費や水道光熱費、往診車両のリース料やガソリン代、駐車場代、医療廃棄物処理費などに充てるのです。
 20万円稼いだから20万円すべて自分のものという考えでは、経営が成り立ちませんね。

 ちなみに、患者さんの体の時は補水した量と尿の量はちゃんと比べます。出と入りの量ですね。
 カロリー計算もします。摂取カロリーと代謝量。

 診療所の経営も同じで、入りと出のバランスが大切です。

 さて、地方では、2,500万円という破格のお値段で募集しているところも存在します。
 自宅からものすごく遠くて不便です。
 1年くらいは2時間以上かけて通っている先生もいます。

 紹介会社から医師の求職がありました、と連絡が来ましたが、「希望額は2,500万円です」と言います。

 そんな高い金額での採用はできません。
 どこでもその金額を出せるわけではなく、地方だからこそ、その金額になるのです。

 一度高い金額になってしまうと、なかなか下げる勇気はないみたいで、次の就職先にご苦労するようです。

中村 哲生(なかむら てつお)
1965年生まれ
医療法人永生会 特別顧問
多くの医療機関の顧問を歴任
開業に関するコンサルは70ヶ所以上
在宅医療に関するDVD
著書「コップの中の医療村」
2017年APECに参加
年間100本ほどの講演を行っている。

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