在宅医療最前線7/25号風と共に去りぬ

中村 哲生

2018-07-25

 在宅医療で業務を合理化できるところは、2つしかありません。

 1つ目は、訪問中の移動時間の短縮です。

 患者宅への訪問診療や訪問看護の滞在時間を短縮することは、質の低下となります。
 地域の評価を下げずに訪問件数を増やす為には、滞在時間を減らすのでは無く、移動時間を短縮することが大切です。

 移動時間を短縮するためには新規の患者さんを受け入れする時に、近くの患者さん同士順番に回るという、なんとも単純なものです。
 患者さんのお宅から次の患者さんのお宅までの移動時間がかからないような、効率的な訪問スケジュールを作りましょう。

 訪問可能な距離は、法律上の原則では診療所より半径16kmです。

 診療所の立地によって、縦方向の移動が効率的であったり、横方向の移動がスムーズであったりしますので、実際には訪問エリアは楕円になります。
 大きな川を越境する場合は、交通渋滞などにより訪問時間が長くなりますので、周囲の交通状況などを考慮して往診エリアを決定しましょう。
 開業から間もない時期は貪欲に患者さんを獲得していきたいですので、非効率なスケジューリングでも、売上を確保するためには我慢の時期と考えて下さい。
 訪問スケジュールは点から線に、線から面へと成長していきます。

 外来では3分診療でも、在宅医療では最低10分くらいは滞在します。重傷者で処置などが有る場合、1時間くらいかかる事もあるかもしれません。

 軽症患者ばかり診ている診療所では
「こんにちは」「調子はいかが?」バイタルを測って
「じゃ またね~」 滞在時間4分

 こんな在宅医療の診療所の事を、僕は「風と共に去りぬ」と言っています。

 もう1つの効率化ができる業務は、医療事務です。

 患者数が40~50名までのところでは、あまり事務の効率化というところには至らないかもしれません。
 80名、100名、120名、150名と患者が増加すると、事務の量は想像を超えるほど膨大になります。

 訪問計画や予定表、レセプト、情報提供書、物品の管理など、一つ一つは数分の業務かもしれませんが、在宅の患者さんが増えると一気に業務負荷が増大します。
 開業時にはあまりお金をかけたくないという気持ちは理解できますが、開業時にちゃんと考えてシステムを導入しないと
「安物買いの銭失い」となってしまいます。事務員さんの人件費と比べますと、システムのリース代など安いものです。

 儲かる在宅医療機関は医師(稼ぎ手)が多く、事務系(稼がない人)が少ない所です。
 逆に、医師がたった1名しか居ないのに事務員が2名、MSWが1名、事務長1名
 こんなクリニックは全く儲からないですね。

 在宅の医療機関は医療機器などの設備投資が少ないので、
その分、システムやコピー機などにはお金をかけて下さい。

「風と共に去りぬ」「安物買いの銭失い」にならないでくださいね。


中村 哲生(なかむら てつお)
1965年生まれ
医療法人永生会 特別顧問
多くの医療機関の顧問を歴任
開業に関するコンサルは70ヶ所以上
在宅医療に関するDVD
著書「コップの中の医療村」
2017年APECに参加
年間100本ほどの講演を行っている。

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