在宅医療最前線3/27号増加するであろう施設での看取り、私の密かな願いは…

中村 哲生(医療法人永生会 特別顧問)

2019-03-27



サービス付き高齢者住宅の数は、毎年増え続けています。表を見るだけで右肩上がりなのがわかります。

さて、下の表(「サービス付き高齢者住宅における看取りの状況」)は、2016年改定の前に、厚生労働省が中医協への説明に使った資料です。
サービス付き高齢者向け住宅では、看取りを実施していない施設では入居状況が低下していると説明されています。実態があっているか、いないかという点はありますが、今後の多死時代に向けて病院だけでなく、患者さんやご家族それぞれの希望に添った看取りの場所という事が重要になってきます。



施設での看取りが今後増加するであろう事は予想できます。
平成24年に規制が緩和され、介護職員による喀痰吸引が講習を受ければできるようになりました。施設で看取りを推進する上で、とても画期的な緩和だと思います。

老人ホームでは、日中は看護師がいるものの、夜間帯には看護師がいない、という施設も多いです。サービス付き高齢者向け住宅では、元々看護師はいません。こういった施設で夜間の痰の吸引が進まないと、施設での看取り数が増加しないという事になります。
未だに、在宅の医師に対して痰の吸引に往診に来て欲しいという依頼があります。施設では介護保険の上限に達しているため、日頃は訪問看護が入らないケースもよくあります。
医療サイドからすれば、介護職員に痰の吸引はお願いしたいところではありますが、実態としては講習を終えた職員はそんなに多くはありません。



東京都のホームページをみますと、介護職による喀痰吸引の登録研修機関は平成31年3月1現在で37か所です(一覧を拡大)。登録研修機関は年々減っています。理由は、受講者が集まらないという事だそうです。受講者が集まらないことで、講師として医師への支払いなどを考慮すると事業が赤字になってしまうところもあり、取り下げしている研修機関が増えています。また、啓蒙活動にしてもあまり進んでいないように思えます。

東京都では、新規の事業者に対して補助金なども公布しています。
研修者を送り出す施設側としても、講習費が高いということがあるようです。
研修費用は1号研修 215000円、2号研修168000円、3号研修60000円と高額で、施設側の負担も大きいです。講習期間や回数が多いのもネックかもしれません。



上の図表は、今後急激に増加する高齢者住宅での看取りになります。
意外ですが、自宅での看取りはあまり増加しません。圧倒的に高齢者施設での看取りが増えるように、厚生労働省は制度設計を行っていきます。
ここへ誘導する中で一番広がって欲しいのが、介護職員による痰吸引の講習済の方の人数です。
今後の施設での看取りの増大は、痰吸引ができる介護職員の増大と比例すると思っています。
私が個人的に思うことは、喀痰吸引ができる介護職員が3名以上いる施設には、施設看取り加算のような介護点数がつくような仕組みができて欲しいと密かに願っています。


中村 哲生(なかむら てつお)
1965年生まれ
医療法人永生会 特別顧問
多くの医療機関の顧問を歴任
開業に関するコンサルは70ヶ所以上
在宅医療に関するDVD
著書「コップの中の医療村」
2017年APECに参加
年間100本ほどの講演を行っている。

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