在宅医療最前線8/28号院長が忙しいとダメ

中村 哲生(医療法人永生会 特別顧問)

2019-08-28

どこの病院でも診療所でも、院長が一番忙しいです。
医療の世界に限らず職人さんの世界もそうでしょうが、「俺の背中を見ろ!」という事なのでしょうね。
職人さんの世界は技術を盗むということです。
院長は死ぬほど働いている姿を見せて、君たちも働きなさいという事です。

看護師さんや事務員さんも、大した仕事でないのに全部院長の所に持っていきます。

「それって他の医師も出来るじゃん」
「看護師でも出来る仕事なのに」
「こんなの事務員さんでもできたでしょ」

こんな状況になっていませんか?

訪問看護ステーションの所長、薬局の薬局長、老人ホームの施設長…もしかしたらどこもそんな状況ではないでしょうか?

おそらく人の良い院長先生なのです。
そして、お人好しの院長はスタッフから人気があります。
スタッフが帰った後も一人残業をしています。
そんな状況を長い期間やっていると、院長は疲弊します。
いつか院長はつぶれてしまいます。
または退職してしまいます。

退職して新しい院長が来ました。
今度の先生は、院長の仕事以外の仕事はちゃんと他のドクターやコメディカルスタッフに仕事を投げる事ができます。

そうすると他の先生や看護師、事務員も前院長と比較しはじめます。

「前の院長はやってくれたのに」
「前の院長は働き者だった」
「今度の院長は仕事ができない」
こんな事を言いだします。

本来は、院長の仕事を減らすために他の医師がいて、看護師がいて、事務員がいるのです。
それなのに、他のスタッフが楽をする為に院長に仕事を持っていきます。

あるパートの先生の受け持ち患者を、いつの間にか院長に割り振った看護師がいました。
院長が怒って元に戻しても、またいつの間にか院長に割り振ったりします。

看護師がパート医師の受け持ち患者を院長に割り振る理由を聞いたらビックリしました。
「パートの先生はいつも当直明けだから可哀そう」だそうです。

「おいおいおい・・・・」
むしろ当直を辞めて欲しいでしょ。
こちらは日当を払っているのですよ。

そして患者数の少ないこのパート医師、夕方4時くらいから机に顔を埋めて寝ています。

スタッフにはこのような思考があるようです。

まずはパート医師の枠をうめて、次に常勤医師、そして院長という優先順位にしてもらわないと。


【執筆者のご紹介】
中村 哲生(なかむら てつお)
1965年生まれ
医療法人永生会 特別顧問
多くの医療機関の顧問を歴任
開業に関するコンサルは70ヶ所以上
在宅医療に関するDVD
著書「コップの中の医療村」
2017年APECに参加
年間100本ほどの講演を行っている。

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