在宅医療最前線9/25号【在宅たかせ塾】ケアと薬の最適化(2)

髙瀬 義昌(医療法人社団至髙会 理事長)

2019-09-25

みなさんこんにちは。
暑さがやわらぎ、やっと過ごしやすい日々が到来したかと感じたのも束の間、度重なる台風の知らせに落ち着かない毎日ですね。在宅医療における災害対策も重要です。そのお話はまた改めて。

さて今回のテーマは、「ケアと薬の最適化」です。訪問診療を始めたときは、薬の最適化のチャンスです。それは、複数の医療機関から処方されている薬の情報がまとまり、さらに療養環境や介護者の状況を見ながら時間をかけることのできる環境が整うためです。

まずは、
①薬の有害事象はないか
②きちんと飲めているか
③同効薬が複数処方されていないか
④薬物相互作用の可能性はないか
を確認し、対象の薬剤の減量や変更を試みます。

その上で、処方する薬剤が高齢者に推奨される使い方かどうかをチェックします。高齢者は生理機能が低下しており、一般成人と同量の処方をすることには、危険をはらんでいることに常に注意を払います。一方で過少医療も避けたいところ。ご家族、介護スタッフと密接に情報交換し、食事や運動などの指導とともに薬によって発生しうる症状を伝えて、適切に情報があがってくるような環境作りをした上で本人の身体に適切な薬剤、必要な量を調整します。

ご参考に、「高齢者の医薬品適正使用の指針(総論編)」(厚生労働省)にも掲載されている「薬剤起因性老年症候群と主な原因薬剤」のリスト(注1)をご紹介します。
またご本人・ご家族向けには「多すぎる薬と副作用」(日本老年医学会ならびに日本医療研究開発機構研究費)(注2)も役に立ちます。

「ケアと薬の最適化」に必要なものは、本人・家族・介護者など関わる方すべての理解とチーム力。「このチームのやる気スイッチはどこにあるのかな?」という探索もまた在宅医療の難しさであり、面白さだと感じています。


【薬剤起因性老年症候群と主な原因薬剤】


■ご参考
注1:高齢者の医薬品適正使用の指針(総論編)P.10
https://www.mhlw.go.jp/content/11121000/kourei-tekisei_web.pdf
注2:「多すぎる薬と副作用」(日本老年医学会ならびに日本医療研究開発機構研究費)」
https://www.jpn-geriat-soc.or.jp/info/topics/pdf/20161117_01_01.pdf



【執筆者のご紹介】
髙瀬 義昌(たかせ よしまさ)
信州大学医学部卒業。東京医科大学大学院修了。
麻酔科、小児科を経て、包括的医療・日本風の家庭医学・家族療法を模索し、2004年東京都大田区に在宅を中心とした「たかせクリニック」を開業する。
現在、在宅医療における認知症のスペシャリストとして厚生労働省推奨事業や東京都・大田区の地域包括ケア、介護関連事業の委員も数多く務め、在宅医療の発展に日々邁進している。

たかせクリニックHPはこちら

人気記事

老人ホームの病院化が進む

中村 哲生(医療法人永生会 特別顧問)

老人ホームの病院化が進む
2019-11-27
在宅医療最前線
中医協 在支病の往訪体制 複数医の訪問診療算定要件見直しの方向
2019-12-03
キャリア

在宅医療が上手くいく「特殊性3ヶ条」とは

Dr.英 裕雄(新宿ヒロクリニック 理事長)

在宅医療が上手くいく「特殊性3ヶ条」とは
2016-04-27
在宅医療最前線

「継続的に利益を出す方法」 私が指南します。

菅谷 太一(ハウスリンクマネジメント株式会社)

「継続的に利益を出す方法」 私が指南します。
2016-04-27
ライフスタイル

関連記事

老人ホームの病院化が進む

中村 哲生(医療法人永生会 特別顧問)

老人ホームの病院化が進む
2019-11-27
在宅医療最前線

在宅医療が上手くいく「特殊性3ヶ条」とは

Dr.英 裕雄(新宿ヒロクリニック 理事長)

在宅医療が上手くいく「特殊性3ヶ条」とは
2016-04-27
在宅医療最前線

2歳の息子が「パパ、今日オンコール?」

Dr.渡辺 英靖(横浜まちだクリニック 院長)

2歳の息子が「パパ、今日オンコール?」
2016-04-27
在宅医療最前線

厚労省による「政策誘導」、読み解けますか?

中村 哲生(医療法人南星会 湘南なぎさ診療所・事...

厚労省による「政策誘導」、読み解けますか?
2016-05-27
在宅医療最前線