在宅医療最前線11/27号老人ホームの病院化が進む

中村 哲生(医療法人永生会 特別顧問)

2019-11-27

 これから病院の再編が始まります。社会保障費の高騰により、財政はすでに破たん状態です。

 国は病院のベッドをこれから減らして行こうという方向になっています。とはいえ、何処の病院も「では辞めます」という事にはなりません。必死に企業努力をして生き残りをかけています。
 在宅復帰率や看護必要度という制限をかけながら、対象患者の絞り込みを行っています。老人人口の増加により入院が必要な患者は増加します。より回転を速くする事での対応が必要となります。

 そういえば、最近は救急車のたらい回しという、以前社会問題となったようなニュースは流れなくなりました。これは社会的入院が減り、病院の稼働率が下がったという事です。

 2014年の診療報酬改定により、病院には在宅復帰率というものが出来ました。
 7:1看護と呼ばれる重症度の高い患者さんが多数いる病棟は2016年に80%の在宅復帰率となりました。在宅復帰率の縛りによって、これまでよりも重度の方が地域に帰って来ています。重度の患者が退院する事で家族の負担は増加して、家族は「家では看られない」「対応が難しい」「こんなはずでは無かった」という事になります。勿論、ご家族で頑張って介護をされるところも沢山あります。

 では、ご家族が対応できないとどうなるでしょう。

 そう、老人ホームなどの高齢者施設へお願いする方が増えます。
 これからは病院のベッド数は削減されてきます。ベッドは減るのですが、老人は増加します。病院のベッドが減る分、老人ホームなどの施設へと転化されていきます。最終的には老人ホームは重症な方が増えて病院化していきます。
 老人ホームの重症化、病院化に対応する在宅医療機関は、地域にとって重要な役割を担うようになります。

 国は効率化により薄利多売を目指しています。医療費を抑制する為に纏めて沢山、安い金額で診てほしい。これが国の目指す在宅医療推進の方向性だと感じています。



【執筆者のご紹介】
中村 哲生(なかむら てつお)
1965年生まれ
医療法人永生会 特別顧問
多くの医療機関の顧問を歴任
開業に関するコンサルは70ヶ所以上
在宅医療に関するDVD
著書「コップの中の医療村」
2017年APECに参加
年間100本ほどの講演を行っている。

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