在宅医療最前線12/18号【在宅たかせ塾】介護者が倒れた!

髙瀬 義昌(医療法人社団至髙会 理事長)

2019-12-17

 寒い日が続いています。当院の患者さんでもいわゆる風邪様症状を示す方が増えてきました。当院ではまだそれほど多くはないですが、インフルエンザも猛威をふるっているようですね。在宅医の繁忙期がやってきました。

 ところで以前、当院でこんなことがありました。在宅医療ではままあることともいえますが、ある日、急に介護家族が倒れてしまうという状況。

 70代の夫婦二人暮らし。妻がアルツハイマー型認知症のため、当院で訪問診療しています。当院の患者さんにしてはかなり若い方で、いわゆる老々介護というにはまだ早いご夫婦です。妻は認知機能低下により意思疎通も難しくなってきていますが、デイサービスやショートステイを活用しながら、ご自宅で暮らしています。

 ある日の夕方、夫の職場の同僚という方から当院に電話が入りました。その夫が業務中に急に言葉が出なくなり様子がおかしいとのこと。当院に電話をかけてきたということは、ご本人がなんらかの方法で同僚に依頼したのでしょう。脳出血などの可能性を考え、早急に病院受診するよう伝え、一旦電話を切りました。

 さて、そこで問題になるのはそろそろデイサービスから帰ってくる妻のこと。ケアマネジャーに連絡をしたところ遠方にいてすぐには動けない。息子さんに電話をしてもつかまらない。慌ててデイサービス先に状況を伝えるとともに、本日過ごせる場所の確保に動きます。とはいえ時間はすでに夕方4時、そうそう簡単には見つかりません。近隣の介護施設などに一件一件電話をかけている最中に息子の妻と連絡がとれ、なんとかその日はお嫁さんが看てくださるということで一件落着しました。

 もし娘さんが見つからなかったら、遠方ですぐには来られなかったら、そもそも夫以外に家族がいなかったら・・・今回十分なリスク管理ができていたかについては改めて振り返る必要がありそうです。とはいえ、どこまで備えてもトラブルは起こるもの。しかも盆暮れ正月、そして夜。そういうときのためにも日ごろから地域の人的ネットワークづくりに努める必要がありますね。



【執筆者のご紹介】
髙瀬 義昌(たかせ よしまさ)
信州大学医学部卒業。東京医科大学大学院修了。
麻酔科、小児科を経て、包括的医療・日本風の家庭医学・家族療法を模索し、2004年東京都大田区に在宅を中心とした「たかせクリニック」を開業する。
現在、在宅医療における認知症のスペシャリストとして厚生労働省推奨事業や東京都・大田区の地域包括ケア、介護関連事業の委員も数多く務め、在宅医療の発展に日々邁進している。

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