新型コロナウイルス感染症(COVID-19)はますます猛威をふるっていますね。当院でも指針を作り対応しています。患者さん、ご家族、そしてスタッフの健康と精神的安定の微妙なバランスを保ちつつ、地域の病院の機能不全を起こさないよう、粛々と私たちの社会的使命を果たすときと考えて診療を行っています。
さて、在宅医療における予防をどのように考えるべきでしょうか。当院の患者さんは認知症の方が多く、多くの患者さんが数か月から数年にわたって訪問診療を継続するため、できるだけ療養空間を安定させ、落ち着いた毎日を送れるように支援することが私たちの目指すところと考えています。
厚労省のデータでは、認知症を持つ入院患者の疾患のトップ3は、脳梗塞、肺炎、骨折です(平成26年の入院医療等の調査より)。そこで、当院では徹底的にこれらを減らすため、さまざまな対策をしています。特にインフルエンザワクチン、肺炎球菌ワクチン(プレベナー・ニューモバックス)の接種、骨粗しょう症治療やリハビリによる転倒・骨折予防は必ずお勧めし、計画的に実施します。経験上、帯状疱疹は罹患後に痛みが残ってツライ思いをする患者さんが多いため、水痘ワクチンの接種も勧めています。リスクを減らし、問題を複雑化しないこと、問題を紐解いてわかりやすく解決策を示すことで家族の安心感にもつながります。
症状や訴えに対する答えを一対一で示すのではなく、全体的な時間や資源、価値観・関係性などの空間のマネジメントという視点で進めなければ、在宅療養を継続することは難しくなるでしょう。
新型コロナウイルス感染症とのたたかいはまだまだ続きます。ウイルスと人間との戦いだけでなく、社会システムの適応力、柔軟性も試されています。物事を俯瞰して見る。改めて考える必要がありそうです。

【執筆者のご紹介】
髙瀬 義昌(たかせ よしまさ)
信州大学医学部卒業。東京医科大学大学院修了。
麻酔科、小児科を経て、包括的医療・日本風の家庭医学・家族療法を模索し、2004年東京都大田区に在宅を中心とした「たかせクリニック」を開業する。
現在、在宅医療における認知症のスペシャリストとして厚生労働省推奨事業や東京都・大田区の地域包括ケア、介護関連事業の委員も数多く務め、在宅医療の発展に日々邁進している。
たかせクリニックHPはこちら