医療での独特の言い回しです。普通は「御中」「殿」「様」というものを使います。
医師は病院へ情報提供書や紹介状、紹介礼状などを書くときに、表題の「御侍史」「御机下」なる言葉を使います。
時々、どういう意味ですかと聞かれる事があります。
まずは読み方です。
「御侍史」:おんじし または ごじし と読みます。
「御机下」:おんきか または ごきか と読みます。
●「御侍史」の意味
直接お渡しするのは失礼なので、秘書の方が開けて下さい
●「御机下」の意味
とるに足りないような手紙ですから、机の下にでも置いておいて手の空いた時に読んでください。
ということだそうですが、最近では「御侍史」は病院の誰が開けても良いです。「御机下」は先生が開けて下さい。という意味で使っていることもあります。しかも「○○先生御侍史」とか「○○先生御机下」というように、名前+先生+「御侍史」または「御机下」とようにダブルで使います。どれだけ偉いの?という感じがしますね。
また、「御机下」のとるに足りないというのも失礼な話で、患者さんの紹介状など重要な書類だと思います。とるに足りないとは言語道断という気がしますが、医療業界は未だにこういった言葉が使われています。これでお医者様のプライドが保たれます。
さて、どこかの章でプライドの話を書いたかもしれませんが、医師というものは医師免許を取った時点で、他の人からのリスペクトを求めています。医師になった時点で当たり前のように周りの人から尊敬され、場合によっては恐れられるべきと考えている人がいます。もちろん全員がそういう訳ではありません。むしろそういう人でない医師の方が尊敬されます。
医師の皆さんは真面目で勤勉です。医師を敬い、リスペクトしてあげるというのが今回のキーワードです。が・・・何事もほどほどにというのも大切です。

【執筆者のご紹介】
中村 哲生(なかむら てつお)
1965年生まれ
医療法人永生会 特別顧問
多くの医療機関の顧問を歴任
開業に関するコンサルは70ヶ所以上
在宅医療に関するDVD
著書「コップの中の医療村」
2017年APECに参加
年間100本ほどの講演を行っている。