在宅医療最前線11/24号政権交代

中村 哲生(医療法人永生会 特別顧問)

2020-11-24

 ある時にお局様より強い人材が入職すると、魔女狩りをしていたお局さんに打ち勝ってしまう人がいます。まさに政権交代がおきます。お局様が退職すると、一気に組織内のパワーバランスが変わります。新たなボス猿誕生です。ボス猿にもタイプがいます。自分に都合の悪い人間を粛清してしまうタイプと、旧お局様の子分達を取り込むタイプです。静粛タイプがボス猿になると、組織の平穏は訪れないですね。

 医療、介護の世界には、人を育てるという事が根付かない土壌があるようです。医療、介護業界は常に人材を募集しています。求人広告を見ると医療機関や介護業界の募集広告ばかりです。医療、介護の業界はいったいどれくらい年間に人材募集の金額を使っているのでしょう。

 以前は、看護師の募集などはハローワークや広告媒体でした。今や医師、看護師、理学療法士、作業療法士、言語聴覚士、その他殆どの人材が紹介会社から来るようになりました。ここ10年以内で紹介会社を利用する求職者がものすごく増えました。人材が足りず就職先などいくらでもあるのに、皆さん紹介会社を利用します。自分では聞きにくいことを紹介会社に代わりに聞いてもらいます。人材紹介会社は複数の医療機関や介護会社にアポを取ります。給料など条件の良い所を探します。人材紹介の手数料は会社や職種により異なりますが、安い所は年収の10%、高い所は30%、平均すると20%くらいになっています。

 さて別の章ではお局様によって優秀な人を追い出し、そうでない方ばかり残ってしまう負のスパイラルを書きました。優秀な人材が多い病院では、お局様タイプとは異なりスキルの低い人をいじめます。初めからなんでも出来る人間はいません。本当に不適合な人材でしたら組織として考えなければいけません。しかし、優秀な人材たちはスキルの高くない人材を許容する事ができないのです。そのため、人材を育てるという環境が作りにくいという土壌が出来上がります。当然のことながら経営者はそんな事は望んでいません。

 イジメられて退職した人材はその組織に対して良い感情はありません。一見円満退社にみえる人も、実は腹の中にイチモツをかかえて退職します。退職者全員が「立つ鳥跡を濁さず」であれば良いですが、イジメられて辞めた人には、後を濁して行く人もいます。退職者が本当の退職理由を話してくれる人はなかなかいません。退職理由をキチンと話してくれる方も中にはいます。もっと早く言ってくれたらと思う事も沢山ありますが、時すでに遅しとなります。

 イジメをして人を辞めさせる人に限って、「人が足りないせいで残業が多い」と不平不満を言います。そんなとき経営者はグッと堪えて、こっそりと心の中で「アンタが辞めさせるから人で不足になるんだ!」と呟いてしまいます。そう、経営者はひたすら、我慢 がまん ガマン・・・

 「そんなの医療、介護の業界だけじゃないよ」という方、多いかもしれないですが、医療と介護の業界は特に大変なのですよ。つらい・汚い・給料安い…その上こんな仕打ちされたら、そりゃ辞めちゃいますよね~。



【執筆者のご紹介】
中村 哲生(なかむら てつお)
1965年生まれ
医療法人永生会 特別顧問
多くの医療機関の顧問を歴任
開業に関するコンサルは70ヶ所以上
在宅医療に関するDVD
著書「コップの中の医療村」
2017年APECに参加
年間100本ほどの講演を行っている。

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