在宅医療最前線12/22号医療と介護のIT化

中村 哲生(医療法人永生会 特別顧問)

2020-12-22

 いつもテーマに出るのがITの話です。各メーカーが色々なアイデアを持って営業に来ます。僕が思うに、どれも良いとい思えるものがないのです。最近、どこのIT企業も営業に来る内容のメインテーマは他職種連携、地域連携なのです。

 営業トークもピンと来ないです。なんでもかんでも色々な機能をくっつけて来ます。ITの考え方はおそらく、「大は小を兼ねる」ということなので常にオーバースペックです。各医療機関によって欲しい機能が違うので仕方ありません。そのためテーマが解らなくなっています。それだけ医療機関の要求するものがバラバラなのでしょうね。折角IT化するのなら、仕事が減って欲しいです。ITは楽にならなければ意味はありません。

 ITを進めると、仕事が楽になるのではなく増加するといったご意見をよく聞きます。最近では診療報酬改定による誘導もあり、病院が在宅医療に参入しています。既に病院では電子カルテが導入されている所が多いのですが、病院の電子カルテのコンセプトはいかに情報が外に漏れないかという事が主であります。

 一方、在宅医療のコンセプトは、ケアマネージャー、薬局、訪問看護ステーションなどと情報をいかにして共有するかというコンセプトであり、病院の電子カルテとは相反するコンセプトとなってしまいます。もともと病院の電子カルテは、将来在宅医療を行うという設計になっていないものです。既存の在宅医療のソフトとの融合にはとても苦労します。

 私のところでは既存の在宅医療用の電子カルテと病院の電子カルテとを融合しましたが、それに掛かった費用は数千万円でした。今後、病院で在宅医療の普及が進むと、電子カルテの問題はもっとクローズアップされるようになるでしょう。何度も話しますが、「IT化によって仕事が合理化され、人件費が抑えられる」という視点は失くさないでください。



【執筆者のご紹介】
中村 哲生(なかむら てつお)
1965年生まれ
医療法人永生会 特別顧問
多くの医療機関の顧問を歴任
開業に関するコンサルは70ヶ所以上
在宅医療に関するDVD
著書「コップの中の医療村」
2017年APECに参加
年間100本ほどの講演を行っている。

人気記事

【日本医療安全調査機構】<br>医療事故調査制度の現況報告(7月)<br>医療事故報告は34件となり累計3883件と増加傾向に
2026-10-13
医療行政最前線

トップの言葉の軽さ

中村 哲生(医療法人永生会 特別顧問)

トップの言葉の軽さ
2026-10-06
医療行政最前線

在宅医療の成功者に学ぶ勝ち残り戦略(講師:中村 哲生 氏)

ソシオメディカル在宅医療セミナー事務局

在宅医療の成功者に学ぶ勝ち残り戦略(講師:中村 哲生 氏)
2016-08-23
在宅医療最前線

一般病院・生き残りをかけた在宅医療経営戦略セミナー

ソシオメディカル セミナー事務局

一般病院・生き残りをかけた在宅医療経営戦略セミナー
2018-02-22
在宅医療最前線